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カテゴリ:レッスン風景
一つの曲の中には 「テーマとなるフレーズ」があります。 これは、曲の中に 一回きりではなく 何度か現れて、曲を一つにまとめてくれるもの。 たとえ、違うフレーズに移っても テーマのフレーズに戻ってくることで 聴く人に、曲のまとまりと 安心感を与えます。 とはいえ、同じものが 全く同じように 何度も出てきたら、 安心を通り越して 飽きてきてしまいますよね。 ですから、表現する側としては 「同じフレーズは、全く同じように 弾かない」 ことを 意識します。 発表会に参加する 小学生のI ちゃん。 ショパンのワルツを弾いていますが 同じテーマが 前半に2回、 後半と最後に また2回 繰り返されます。 I ちゃんは、これを 4回とも全て 同じ強弱のつけ方で(どちらかといえば おとなしく) 同じタイミングで息継ぎ、テンポ変化させて 音色・ペダリングも 同じにして演奏してくれました。 うーむ。 丁寧なのだけど、なんだか さみしい。 私「I ちゃん、あのね、 西洋料理のフルコースを想像してみてくれる? 基本的なコース料理の順番は 前菜があって、スープが出て 口直しの後、メインの魚料理・肉料理 最後にデザート。 I ちゃんの演奏は、このフレーズを 初めから最後まで、どちらかといえば『あっさりした前菜』風に 4回出しているよね?これは コースとしてどうだろう?」 I 「うーん、飽きそう。」 私「でしょう?たとえ『カニ尽くしフルコース』みたいな 同じ素材を使ったフルコースであっても 刺身・てんぷら・焼き蟹・茶碗蒸し・鍋 みたいに 変化させて出すから、まだ飽きないんだよね。 …ちなみに、変化させて出すとしたら 一番おいしい!って いう料理は 4回のうち、どこで出したらいいと思う?」 I 「最後」 私「でしょ?私も そう思う。 コース料理って、つまりは わりと 量が少なくてあっさりしたものから だんだん しっかりした食べ応えのある料理になって 最後に 甘いデザートで満足するようにしているのよね。 これがもし、順番 逆に出てきたら、 お腹は同じだけ食べて満腹になっても 満足感は薄いと思うのよ。」 I 「ああ」(←納得した模様。) その後 あれこれ相談して 前半のフレーズは テンポが揺れすぎないように 後半のデュナーミク(強弱)は より大きく歌わせる レガートは 後の方をレガーティッシモに それぞれの 終わり方に変化 と 調理方法を決めていきました。 本番の舞台で、お客様に おいしく味わっていただけますように。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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