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カテゴリ:レッスン風景
3年前のある日。
普段、レッスンには付いてこないお母様がロビーに来ている。 しかも、なんだか表情が厳しい。 や~な、予感がします。 その生徒さんの時間になって、 お母様、一緒に入ってこられました。 開口一番、 「家の子、全然練習しなくて ずっと私がやるように言い続けて やらせていたのですが もう、それで言い争うのが嫌になってしまって… レッスン、やめさせようと思うのですが。」 あ~、案の定だ~。 その生徒さん、確かに 積極的に頑張るタイプではなく そのわりに は、練習している様子なので おかしいなあ、とは思っていたのです。 そうか、お母様のおかげか、やっぱり。 ただ、この生徒さん、音楽は好きです。 音楽的な勘も良く、表現力もある。 耳が良いのです。 アドバイスも ちゃんと理解し、弾こうとしてくれる。 問題は、自宅で それを生かした練習をしないこと。 それで「やりなさい」と言われて機械的な練習をするから 翌週、また同じことを言われたりする。 3歩進んで2歩下がる、 最終的には1歩進む、という感じで 上達していました。 しかし 本人、決してピアノが嫌いなわけではないのですから お母様が 神経をすり減らしながら 「練習しなさい」を連呼して、憎まれ役を買わなくても 自分の楽しみ方を知れば、自分で弾くんじゃないかなあ。 ――と 思いまして 今までは 他人に言われて、 いわば『受身』でピアノを弾いていたけれど そろそろ「子供」としてではなく、 「大人としての 音楽の楽しみ方」を 身に付ける時期なのでは ないでしょうか。 一度、思い切って 離れて様子を見てみては? お母様も楽になりますし、 本人が 本当にピアノ好きなら、弾きますよ。 と提案してみました。 3年後の現在。 あの時、レッスンをやめたい?続けたい?と聞かれ 「どっちでもいい」と言い放った彼女は 今、弾きたい曲を 心を込めて弾きます。 受験生にも関わらず、2月の発表会に出る気です。 自立した彼女と、見守ってくださったお母様に、拍手。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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