現在、ベートーヴェンの「エリーゼのために」を
弾いている生徒さんがいるのですが
どうも彼女、フレーズ最初の音・最後の音に無頓着。
『エリーゼのために』なんて
同じ音型のフレーズが、たたみかけるように
幾度も繰り返され
左手も、同じ音型で上行する伴奏が
右手で弾くフレーズに流れ込むように繰り返されます。
これを彼女は
ミレ♯ミレ♯ミシレドラミラ
↑
左手伴奏の開始音のラ
右手で弾くフレーズ最後のラより
左手で弾き始める伴奏のラの方が大きくて
メロディーの最後の音が聴こえない…
片手ずつ弾く分には、端まできれいに演奏しているし
旋律と、伴奏のバランスについてはわかっているのですが
弾き始めと弾き終わり、フレーズの端が雑。
あのね、Oちゃん(←彼女の名前)。
有名人の最期の一言って、知っている?
O「最期の?亡くなる時ってことですか?」
そうそう、例えば有名な詩人のゲーテ。
『もっと光を。』と言ったらしい。
詩人らしいけれど、単に部屋が暗かったのかもしれない。
O「へぇ~。他には?」
日本人だと、勝海舟の『コレデ、オシマイ。』とか。
O「あはははは(爆笑)」
まあ、有名人は置いておいて
最期の一言って、結構大切な事があるでしょう。
例えば、それまで喧嘩していて口も聞かなかった人に
最後の最後、一言「ごめんね。」と伝えるとか
遺言状を残していなかった人が誰に財産を残すか、とか。
O「あ、そうですねー」
それでね、その人が
『遺産相続人の名前』を言い残そうとした時
わ…私の財産は全てゴォーーー
って、トラックか何かの轟音にかき消されたら
残された関係者、もめるでしょう。
O「あー、確かに…」
それでね、Oちゃんの『エリーゼのために』だと
右手のフレーズ最後にかぶさる左手の伴奏の頭が
トラックの轟音状態なのだけど。
Oちゃん、散々笑った後
右手のフレーズ最後の1音をかき消さない
絶妙のバランスで、左手伴奏を弾いてくれました。