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ちょっと前の話になりますが、11月にひさびさにハワイに行ってきました。っていっても遊びじゃないよ。州立ハワイ大学で栄養学の研修を受けてきたんです。
アメリカと言えばサプリメントの先進国。日本では今サプリメントがブームになっています。この間もビタミン様物質「コエンザイムQ10」(CoQ10)が大人気で注文が殺到、健康食品のネット販売サイト「ケンコーコム」は11月22日、約6000人分の注文をキャンセルしたそうです。製造元の大塚製薬から納入まで2年かかる、と言われたんですよね。 コーキューテンなんかアメリカではとっくに昔から普通に売られているサプリメントですよ。ハワイのサプリメントショップに行ったときには僕が日本人だと見ると「コーキューテン?メラトニン?日本人みんなそれ買ってくよ」と声をかけられました。買いませんでしたけど。 さてそれだけ日本とアメリカではサプリメント事情が違うわけで、アメリカではいまサプリメントとか栄養についてどのように考えているか、大変興味があったんです。 全体として講義内容はすばらしく、3大栄養素からビタミン、ミネラルのそれぞれ、日本食の利点など、大変広い範囲にわたってていねいにわかりやすく講義してもらえました。 なによりもビックリしたのがその教授のサプリメントの選び方です。「私はアメリカのサプリメントは選ばない。イタリアとかドイツ、オーストラリアのサプリメントを使う」というのです。 こんなにサプリメントが豊富で種類が選べるのになぜ?と思って質問してみました。「なぜアメリカのサプリメントを選ばないのですか?」 アメリカではサプリメントの販売に関する法律があって、明確な健康被害が多数発生しない限り、そのサプリメントの販売を制限することができないようになっているそうなんです。 だからアメリカではサプリメントの質がまるでわからない。表示通りに栄養素が入っているかも不安。それを使って健康被害が起きるんじゃないかと不安。健康被害が起きたらすぐに訴訟を起こして賠償金を取れるように、アメリカ人は大メーカーのサプリメントを選ぶしかないそうなんです。 それではアメリカでは売れない小さなメーカーのサプリメントはどうするか。日本に持ってくるんですよ。日本で「アメリカで最高のサプリメント」とか言えばばんばん売れちゃう。 かつて日本でもパソコンが売れるようになったとき、学校や企業はアメリカでは売れなくなった旧型のパソコンを押し付けられたことがありましたが、これと同じ状況がサプリメントにも起きているのではないでしょうか。 むしろ日本のほうが栄養の考え方においてかなり進んできています。来年より厚生労働省の「食事摂取基準」が新しくなることをご存知でしょうか。これが非常に画期的な内容なんです。 これまではビタミンCの所要量は100mgとされていました。来年からはこれが根底から変わります。人間には個体差があって、個々人の所要量を正確に把握することはほとんど不可能である。だからこれだけ摂っていれば安心という所要量を算出することはできない。だから来年からは「所要量」という言葉が消滅します。 かわりに出てくるのが「推定平均必要量」と「推奨量」という数値。これだけの量を摂取していれば、50%の確率で日本人が所要量を満たしているのが推定平均必要量。97.5%の確率で満たしているのが推奨量。いいですか、これからは厚生労働省も医師も栄養士もあなたの食べているものの量が正しいかどうかを責任とってくれないんですよ。 まさに分子栄養学の個体差の考え方そのものであり、自分の健康に責任をもつという青春大学の理念そのものが、いよいよ国家の方針になってきたのです。私は今、少し興奮しているんですよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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