サプリメント上限値の意味
来年からの食事摂取基準では、よく過剰症が心配されるビタミンAに関して、従来の上限値がレチノール当量1,500μg(約5,000IU)だったのに対し、今回はほぼ倍の3,000μg(約10,000IU)になりました。これはかなりの量ですから、通常のサプリメントの摂取でこの量を超えることは少ないでしょう。また従来、ベータカロチンがビタミンAの代わりになり、しかも過剰症にならないとされてもてはやされてきました。ところが今回の食事摂取基準では、ベータカロチンはその12分の1しかレチノール当量として計上されません。つまりベータカロチンでビタミンAを摂取しようとしたら、ビタミンAで摂取した場合の12倍もとらなければいけないことになります。結局ベータカロチンにビタミンAの役割を期待するのは、少々無理があるというわけです。ちなみにタンパク質の目標上限値として1日体重1kg当約2g程度に相当する数値が示されました。この量までは危険性が低く、これ以上を摂取しても有用性が低いといいます。これまで1kg当約1g必要だから、70g摂取している日本人はタンパク質が足りていると言われてたわけですが、2g必要な人もいるとすれば、140gとらないといけないわけです。これはタマゴにして約20個分に相当します。無論その場合はカロリーオーバーになる可能性も高くなるので、ローカロリーのプロテインパウダーを利用することも役立つかもしれません。これまで栄養摂取に関しては、医師や栄養士など専門家に相談することが第一と考えられてきました。もちろん今後も専門家に相談することは非常に大切なことでしょう。しかしいくら相談をしたとしても、あなた自身の本当に必要な栄養素の量は、誰も確信を持って言うことはできず、また誰もその数値に責任をとることはできないのです。そのことを明確に示したのが、今回策定された2005年版日本人の食事摂取基準ではないでしょうか。特に病気の患者においては、自分自身の必要量を自分で模索しなければなりません。あなたの病気には誰も責任が取ることができないのです。今まさに病人の自己責任時代が到来したといえます。