たまねぎぼうずのブログ

三谷幸喜作品ということで、前々から借りたかったのだけど、レンタルビデオ屋に行く度に誰かに先を越されていて、ようやく観ることが出来ました。人気あんだね～。

ざくっとしたあらすじを説明すると・・・。

昭和１５年（第二次世界大戦始まりし頃）頃の、劇団付きの喜劇作家・椿一(稲垣吾郎)と警察の検閲官・向坂睦男(役所幸司)の、脚本の検閲を巡る１週間のやりとりを描いたもの。
検閲官は、「腹の底から笑ったことなどない」と断言する超堅物。このご時世に笑いは必要ないとの立場で、喜劇の上演中止に持ち込む為、「笑い」がなくなるような無理難題を次々と繰り出す。椿は、その向坂の無理難題を全て笑いで切り返し、指摘を受けて直した脚本は、前の日のものより面白くなっていく。
そのやりとりのうちに、向坂は笑いを知り、椿との間に奇妙な友情が生まれるが・・・。

こんな感じで。ネタバレしない程度に説明するとこんな感じ。
以下は、ネタバレになるかもしれないので一応ご注意を。

とにかく、向坂と椿の丁々発止のやりとりが面白い。
向坂のナンクセのつけかたは、まあ、「このご時世だから」ということで、
「お国のために、という文言を3回入れろ」だの
「接吻のシーンはダメ」だの、
比較的分かりやすいものが多い。
この切り替えしで椿は、
「お国のために」を「お肉のために」にかけて笑いの方向に持っていき、
「接吻できそうでできない」シーンを作り出すことでますます笑えるように盛り上げ、
その知恵には見ているこっちも、おもわず微笑んでしまうようなものだった。
向坂は、ダジャレ系がお好きらしく、「お肉のために」がむっちゃお気に入りになった様子。
「一度もはらのそこから笑ったことがない」にしては、えらく簡単に笑っちゃってる気がしなくもないけど、まあ、いいか。（笑
向坂はまた、完ぺき主義なので、設定が少しでもおかしいとつい指摘してしまい、椿に乗せられて一緒にリハまでやってしまう。そして、どんどん脚本は磨かれるんだけど・・・。

最後に、お互いの立場を踏み越えて話をしてしまったところで、椿の話に向坂が激怒。
クライマックスは、「笑いの要素を一切取りのぞく」という、喜劇としては致命傷である指定をする。

私は、ここで、「笑いのない喜劇を、椿がどう書いてくるか」にすごく興味が湧き、ドキドキしていたのだけど・・・。

結局、椿は、脚本全てを書き替え、向坂曰く「83回も笑えた」脚本にしてしまった・・・。
なーんだ、「笑いのない」ってのを逆手にとって、
「「わ」「ら」「い」の文字を一切使わない脚本」にでもするのかと思っていたのに！（むちゃくちゃか・・・）

椿は、自分が召集令状をもらい、この劇の上演を待たずに出征してしまうから、上演中止を覚悟して、最後の脚本を書いたんですね。向坂は、召集令状のことをあらかじめ知っていて、裏から手を回そうとしてくれていたのだけど、行き違いになった、と・・・。

最後に、警察の立場でありながら、
「生きて帰れ！そしてこの劇を上演するんだ！」という向坂に、ググッときました。T-T

喜劇が検閲されるような世の中に、再びならないことを願う、そういう気持ちにもなりつつ、向坂を変容させていく「笑い」の効果、そして椿の一途さが心に残りました。

これって、舞台では、向坂と椿の２人でのやりとりが繰り広げられるみたいですね。
DVDもでているみたいなので、映画版との違いを見比べたいけど、近所の小さなレンタルビデオ屋じゃあ、おいてないよなー。(^^;