一番好きだった漢詩
カテゴリに「本関係」とするのも微妙な気がしたんだけど、まあ国語の教科書も本なんだから気にしない。さっき国語の話題を書いてて、ふと私が一番好きだった漢詩を思い出した。知ってる人、何人いるかな?【涼州詞】王翰葡萄美酒夜光杯 (葡萄の美酒夜光の杯) 欲飲琵琶馬上催 (飲まんと欲して琵琶馬上に催す)酔臥沙上君莫笑 (酔うて沙場に臥す君笑ふこと莫かれ)古来征戦幾人回 (古来征戦幾人か回へる)夜光の杯に注がれる鮮やかな紫色のワインとおぼわしき酒、かき鳴らされる琵琶。美しく雅な夕べを感じるのですが、その次の瞬間、この歌を口にしている人が辺境の戦場に赴き、不安で飲まずにいられない状況にあることがわかります。前半の絵画的な描写と、後半の「君、笑わないでくれたまえ」と言う人の切々とした気持ちが、えもいわれぬコントラストを出している感じがします。実際にこの詩を作った人は、辺境の戦士じゃなくって、その人達の立場を想像して作ったらしいんですけどね。お見事といいましょうか。酔いつぶれて砂漠の上に突っ伏しても、笑わないでくれよ。古来より、戦に駆り出されて無事に帰ってきたものが一体何人いたというのか。このコトバは、何も古代中国に限った話じゃないですよね。繰り返される光景・・・。