「ねぇちゃん、ちょっとちょっと。」
こう呼ぶお客さまは一人では決められないか、
一人ではわからないか、
一人では商品を取ることができないか、
たいていそんな感じ。
50台の男性のお客さまです。
「ありゃあの、子供用の靴下ゆぅたらどこかいのぅ。」
お孫さんのでも選ぶのかな。
足の大きさとかわかんないのかな。
「お客さまの右手の商品がお子さま用ですが。
でも、小学校の高学年の方ならもう女性用でも十分に・・・」
と、途中まで言いかけたところで、
「んにゃっ。 えぇとのぅ。説明するのとぅ。」
はぁ。
「男の靴下は丈が長い。」
そうですね。
「わしゃずれる。」
はぁ。
「それはいや。」
えぇ。
「で、これくらいの丈が一番いいんじゃ。」
そうおっしゃって手に取った一足の女性用のショートソックス。
「ありゃあ、短すぎる。」
男性用でもくるぶしソックスはお嫌いですか。
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お客さまのご希望の品。
・長いのはきらい。
・くるぶしはいや。
・リブ編みはいや。
・メリヤスがすき。
・ボーダー柄はいや。
・婦人用のショート丈キボン。
以上の条件を満たすワシの希望にストライクの
ソックスはどこにあるのか。
ボーゼンとその場に立つワタクシに、お客さまが
察して声をかけてくださる。
「『あたしに聞かれても・・・』ちゅうような顔をしとるのぅ。」
やや。申し訳ございません。
心のうちを見事に読まれたあたり、そういう顔をホントにしてたんだろう。
「えぇよ。ワシ、探すけぇ。」
「ほいじゃあ、好きなのを取るわ。」
「じゃあ、はしご。」
お客さま、最上段のストックのフックがけもくまなく
探す気まんまんのようです。
バックルームから五段の脚立を持ってきたら(ショムニ風)
「ああ、ええよ。あとは置いといてもええかのぅ?」
「はぁ、申し訳ございません。」
そうお詫びしてその場を離れた。
5分後。
戻ってみたら脚立は広げてその場に放置されていた。
お客さま、思う存分手にとってごらんになったようですね。
ごめんなさい。また来てね。