さて。（いきなり）



とつじょ発熱　
　　　↓
診断はインフルエンザ
　　　↓
翌日から平熱
　　　↓
食欲は普段どおり
　　　↓
食べるしかすることがない
　　　↓
　　　暇
　　　


せっかくのんびりできる機会だけど、コマユ本人も
もう家でごろごろするのに飽きてきた。

「学校、行こうかな～。」




証明をもらうだけとはいっても、待合室はいろんな患者さんが
いっぱい。
内科と小児科がわかれているので、さすがに小学生はいないけど
それでも結構な人数であるよ。

３０分待ったころ、一人の男性が受付のおねぃさんに
呼ばれて立ち上がった。

８０歳近いくらいかな。受付のおねぃさんが、ていねいにゆっくりと
説明をはじめる。



「先生にですね、聞いてみたんですがね、コザクラさんには
こないだ薬をたっくさん出してるんですよ。

でね、もうこれ以上は今日はお薬を出すわけにはいかんのですよ。
ごめんなさいね～コザクラさん。」


コザクラさん、処方箋もらいにきたみたいだね。
でも、規定の量を飲みきっちゃたのが早すぎたのかな。


「あがあなこたぁなかろうが。　わしゃあ、薬をちゃんと飲んだが
かわらんけぇ、またもらいに来とるんじゃが。そりゃあアンタが
おかしかろうが。」


お金を払ったらもらえると思ったのかな。
なんだか納得いかないみたい。


「せっかく薬をとりに来とるのに、あげらりゃあせんたぁ
どうゆうことかいのぅ。薬がなかったら具合が悪ぅなったら
どうしてくれるんじゃに。」


コザクラさん、口はおぼつかないけど容赦ないぞ。


「そうなんですか～。でもねぇ、先生が必要な薬の量を
ちゃんとはかって処方箋をさしあげてるんですよねぇ。
なので、コザクラさん最初に飲みすぎちゃったんだと思うんですよ。」


「飲みすぎても治りゃせんのんじゃけぇ、薬はいるじゃろうが！」

「わしゃ、怒っとるんじゃけぇ！」


「申し訳ありません～。でも、飲みすぎも体には悪いんですよ。
一日一回、ちゃんと薬局で説明したとおりに飲んでくださったら
まだあるはずなんですけど・・・。
あのぅ、手元にはもうなくなっちゃったんですよねぇ？・・・」



「わしゃ、一日にいっぺん飲んどったんで！
ほいで薬がなくなったけぇ、こうして取りに来たんじゃが！
あったらわざわざ来やせんわい！！」





おっしゃるとおりですが、薬局ではきちんと説明して
ちゃんと回数×日数分でてますよ。
コザクラさん、受付のおねぃさんが困ってますがな。




「わしゃ、薬をもらいに来たんじゃ！
なのに、どうしてそういうことになるんか！
アンタ、先生にちゃんとゆうたんか！！」




コザクラさん、受付のおねぃさんがいぢわるしてるわけじゃないですよ。
あーあ。おねぃさん、困り果ててドクターがいる診察室へ
もいっかい戻っちゃった。



その後もコザクラさん、受付の前で直立不動。



「わしゃ、ずっと立って待っとるんじゃが！」

「はよぅ、せんかい！！」



コザクラさん、ドクターは診察中ですし。
しかも、予約した患者さんだって、だいぶずれこんでるのにアンタに早くと言われても。



「コザクラさん、申し訳ありません。
少しお待ちくださいね。先生はただいま前の患者さんの
診察中ですので。」



受付のカウンターのまん前で直立不動のコザクラさんを前に
おねぃさんたちも仕事をやりにくいだろうよ。



「コザクラさん、お待たせしました。４診にお入りください。」


ほどなく、コザクラさんが診察室に呼ばれて
コザクラさんがとことこ入ってった。


数分後、でてきた。


そして、受付のおねぃさんコザクラさんに
処方箋をわたす。


「では、お薬出しますので、こちらを薬局にどうぞ。」



ドクター、負けて別のお薬を出したのか？？
（おつかれさま）






「キヨサカコマユさん　４診へお入りください。」


コザクラさんに負けたドクターの診察室に、コマユが呼ばれた。



「すみませんね、長いことお待たせしてしまって。」

いえいえ、災難でしたね。

「どう？　熱はさがった？」

ドクター、気にしてもない様子ですね。
やっぱり年配の患者が多い内科はこういうの茶飯事なんですね。

「予防接種はしてたっけ？　えぇ？！　してないの？」

「・・・ずいぶん軽いインフルエンザだったんですねぇ。」

「じゃ、今日は念のためこのままおとなしくして、
明日から登校してもいいです。」

「いや、お待たせして申し訳ありませんでしたね。」



いえいえ、コザクラさんのすったもんだが
ほんの１０分入り込んだだけですから。

こちらもお勉強になりました。
薬を飲むときは気をつけよう。





で、風邪より軽いインフルエンザの治癒証明もゲットしたし、
明日から学校へ放り込むぞ。