先週に続き、自治会の新年度役員会があった。

月末の総会までにやらなきゃいけないことが
いっぱいある。

「副会長さんはまだ？」

定刻はすぎたけど、三役がまだそろわない。
会長のヤマダさんのご主人はすでに資料も広げて
準備万端だけど。

「まぁ、じゃ先にはじめましょうかね。
あっ、でも私がゆぅことじゃあないんじゃけどね。」

いえ、オカムラさん
すでにアナタが実質副会長だとここにいる全員が
思ってるはず。

「あの、副会長のナガタニさんは遅れてきます。
コタニさんはお休みです。」

で、会長＆裏会長を先頭に役員会はじまりはじまり。

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【行事案１】

「行事をいっこずつ埋めていきましょうかねぇ。」

「４月の町内運動会は今年はいつあるんじゃろうか。」

「第四日曜日って聞いとります。」

「うち第三日曜日って聞いたけど。」

「日にちがわからんかったら行事予定案にどう入れようか。」

「子ども会の役員さんがおっちゃったろう。聞いてもらおうかね。」

「メールで確認してみます。」

約三分後。

「わかった！　『最初は第三日曜日で決定だったけどミッチ先生の都合が
合わず、第四日曜日に変更』だそうですよ！」

「ミッチ先生の都合ですか。」

「ミッチ先生の都合じゃ仕方ないですね。」

「でもミッチ先生ちょっとご挨拶によるだけじゃない？」

「まぁそうだけどミッチ先生の主催といってもいいし。」

※　ミッチ先生とは、地元のえらーーーーーい先生である。
どのようにえらーーーーーい先生いうと立候補すればトップで当選、党は惨敗でもミッチ先生はトップで当選
いつだってトップで当選という、えらーーーーーい先生である。
なので、ミッチ先生の都合が悪ければ一度決定した４校学区の町民合同運動会
さえも日程変更ＯＫになる えらーーーーーい先生である。

【行事案２】

「敬老の日は今年は９月１５日です。去年はお祝いに５６０００円使ってます。」

「今年はどんなんかねぇ。７０歳以上がどれくらいおってかね。」

「今年７０になる人もおってじゃけぇ、確認せんといけんね。」

「じゃ、増えるかもしれんね。」

「増えた分誰か死ぬる人もおるけぇ、同じ位で大丈夫じゃて。」

【行事案３】

「定期清掃は４回でいいですかいのぅ。」

「いいですいいです。あ、私がゆぅことじゃないんじゃけどね。」

オカムラさんの一言で終了。

【行事案４】

「害虫駆除はどうしようかね。」

「去年は２回やっとるね。」

「今年もやったほうがいいかねぇ・・・。」

「大体、何年に一度やるんじゃろう。」

「・・・・・・。」

「ま、２回やっとこうかね。あ、私がゆぅことじゃないんじゃけどね。」

【行事案５】

「駐車場の見回りはどうします？」

「去年と同じ不定期で見回ってええんじゃないかね。」

「ほぅよね。『いついつやります』ゆぅて行事案に載せたら
その時期はみな違法駐車がなくなるんじゃけ。」

「じゃ、そうします？あ、私がゆぅことじゃないんじゃけどね。」

「みんな！　私ばっかりじゃなくてなんかゆぅて！！」

（んなこと言われても）

【行事案６】

「ほかになんかあるかいね？あ、私がゆぅことじゃないんじゃけどね。」

「・・・・・・。」

ここで、アタシが口を開く。

「あの、去年は定期清掃のあとに消防署の訓練か何かやってましたけど？」

「あぁ！　ほぅよ！１１月の掃除のあとはいっつも消防署が来よっちゃった！」

「去年は救急救命訓練やったんよ。」

「今年はどうしようかね！」

「あぁ！　ほいじゃあ、『消防署による防火防犯訓練』って
いれといたらいいよ！」

「ほら！みんなもなんかゆぅて！！」

このままオカムラさんが仕切って滞りなく進んだかのように
見えた役員会だが、思わぬ盲点が発覚。

「ほいじゃあ、これをパソコンでうちこんでくれる人が
おってないかねぇ。」

ぎく。

「若い人はみなパソコンができるんじゃないかねぇ。」

「ね？ね？みなさんどう？」

やヴぁいけど、そういうときのために役員分担したんだもの。
そこはきっちし言わせてもらってもいいかね。

「あの、議事録書いたり原本を作るのは書記じゃないんです？」

「あぁ、それがねぇ、副会長で書記兼任のコタニさんは
手書きじゃないとできんそうなんよ。」

だーーーっ。

しかも大事な行事＆予算案は前々から日程決まってたし
欠席するなんて
副会長ったって面倒なのは会長がするんだし、
書記なら役員会は全部出席するつもりでちゃんと議事録
残すのが仕事じゃんか。
なんの仕事する気かね

「ねぇ、誰かパソコンできん？」

「ナガタニさんどう？」

「いやー、一人くらいおってじゃろう思ったんじゃけど。」

「あのね、名簿くらいなら私がなんとか・・・。」

オカムラさん、口もはさむけどほんっとに人がいいんじゃね。

「ブンブさん！　あなた若いし、どんな？」

「・・・あの、今までの資料がフロッピーか何かに残してあるんなら。」

若いママのブンブさん、誰も名乗らずで見かねて
引き受けてくれた。

「えーと、じゃ新年度の予算案の欄に金額を打ちなおして・・・」

「あとは、旧役員さんから繰越金を聞いたらこっちに入れて・・・」

「ここを計算して合計金額を入れて右と左が合ったらいいんですよね。」

ブンブさんとオカムラさんがあーだこーだと
確認している一方で

（エクセル使えば右も左も勝手に計算してくれるがー！）

と、声に出しそうになった。

ごめん。次の時は

「息子に聞きながらやってみます。」

とゆぅて名乗ります。

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「なんかね、役員会って人数揃えば揃ったで
ああ言えばこう言う人がいてなかなか進行しない年もあるよね。」

「去年は最悪じゃったんよね。」

「今年はみんな前向きでよかったですね。」

「みんな！次もどんどん言いたいことゆぅてね！」

オカムラさん、アナタが裏会長ならみんなついていくかも。
（よかった）