ここんとこ暖かいと思ったら今日の予報は21度ですって。
さすがに寒がり大魔王のワタクシも今日は一枚少なめで
お仕事です。(まだハイネックですがね)
暖かくなったら、お客さまの年齢層もぐーんとアップします。
過ごしやすいとデイケアに通うお年寄りが室内から
お散歩がてらご来店の機会がふえるわけですな。
新学期になって、日中若年層がぐっと減って落着きを
取り戻した店内は、ちょっと空気がゆっくりまわりはじめます。
ぞろぞろぞろぞろ。
ヘルパーさん同伴でぞろぞろとやってくるお年寄りは
足は少し弱いけど、口は達者であります。
さぁ、昭和の空気がいっぱいになってきましたよ。
よし、こい!
「ありゃあのぅ、わしは足袋がいるんじゃが。」
きた! この場合、足袋といっても靴下をさすと予想されます。
「こちらの商品でよろしいですか?」
「おお、これよ。ゴムのゆる~~~いのがええんじゃが。」
ご年配の方は靴下も足袋もいっしょくたに『たび』。
「おねぇさん、こがぁに入っとっていくらかいね。」
「105円でございます。」
「どよぅ安いよのぅ。わしゃ、こがぁによけぇさじはいらんよ。」
プラスチックのレジャー用のスプーンです。
じゃ、普通のステンレスの家庭用のもありますよ。
「おお、これでええ。このさじでええ。」
ご年配の方はスプーンではなく『さじ』。
「きいた方が早いで。カビキーラはどこかいね。」
カビとり剤ですね。二階の生活コーナーですけど、
荷物用のエレベーターをご案内したほうがいいわな。
スプレーじゃなくてハケで塗り塗りするやつだけど
いいかしら。
「カビキーラじゃないんね。まぁつこうてみようかいのぅ。」
ご年配の方は語尾を伸ばす言葉は使いません。
たぶんこの方は「カビキーラ」「エレベータ」「ラブレータ」と
伸ばす部分がちょっとずれてるに違いない。
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ピーピーピーピーピーピーピーピー・・・・・・
店内に警告音がひびきます。
大変!!火事ですか?!
ちがいます。
火災の場合は有線がストップして、先にアナウンスが
ながれます。
警告音は奥から聞こえます。
警告音は奥の障害者用トイレから聞こえます。
「すみませーん、押しちゃったみたいなんです。」
同伴のヘルパーさんが頭を下げました。
はいはい、じゃ元に戻しますよ。
ご年配の方はトイレでは手元にボタンがあれば、注意書きを読むことなく
『水を流すボタン。』
いいえ、違います。ご使用中の方が押したのは
非常用ボタンです。
「はーいっ、じゃ次にマモメさーんどうぞーっ。」
ってか、ヘルパーさん先にアタシに入らせてくれなきゃ
ボタン元に戻せないんですが。
ピーピーピーピーピーピーピーピー・・・・・・
その後も順番待ちのお年寄りが次々に障害者用の
トイレに入っていきます。
ピーピーピーピーピーピーピーピー・・・・・・
一般のお客さまはこの鳴り続ける警告音に
警戒しています。(当然だわな)
ピーピーピーピーピーピーピーピー・・・・・・
「あのっ、終わりました。どうもすみませんでしたっ。」
トイレの中に入って、非常用ボタンを引きました。
(押したボタンを戻すと音は止まる)
ご年配の方は口は達者だが耳が遠い。(けっこう響いたぞ)
おだいじに。(なにがだ)