水曜日です。

カズヲさんはお仕事。

コマユはナイター観戦。

と、いうことは今夜ははアイリとあたしの二人きり。

水曜日に女二人だったらレディースデーの特典を
気兼ねなく利用しますかね。

てか、決定したまではよかった。

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部活からコマユが返ってきた。

「残念なお知らせがあります。」

なんじゃい。遠征費でも突然必要になったかね。

「じつは、自転車を盗られました。」

えーーーーーっ！！
昨日は確かにあったのに。

昨日の朝は雨がふったりやんだりで置いていった。
なので、スクーピーと並べて置いてたのはちゃんと見ている。

今朝、朝練に行こうと玄関を出たらスクーピーだけで
自転車だけが消えていた。

おーまいがっ！！

おととしお世話になったメガ交番に行って盗難届を
作成する手続きをした。

当時のおまわりさん、モガさんはもういなかったけど
今日は若手のおまわりさんが二人も丁寧に話を聞いてくれた。

「えーと、住所はどちらですか？」
「盗難にあったのはどちらですか？」

地図帳を広げて、うちを探すおまわりさんに
自宅の位置と自転車を置いていた場所を指をさして教える。
その後もあれこれと細かいことを二人が交互に聞いてくるのだけど
一人は届出用紙に丁寧に書きこみながら、
もう一人は自宅と近辺の地図を拡大して手書きで書き始める。

自転車一台で二人がかりなんだね。
結構面倒だわな。
ってか、あと３０分で映画始まっちゃうけど
どんくらいかかるんだろう。

レディースデー特典で一人１０００円だもの
でも夏休みだから子供づれが多い昼間を避けて
夕方からアイリとシネコンに行く予定を突然入れた。

でも、そこへコマユったら自転車盗られましただもんね。
通学に使ってる大事な自転車だから早く盗難届を出さないと。

時間を気にし始めたというのに、鉛筆で手書きで書いた地図を
今度はボールペンで清書を始めた。

お、おまわりさん。あたし急いでるんですがね。
相変わらず、交番って時間がのんびり流れるんですね。

「えーと、ですね自転車を置いていた位置を
こういう記号で向きも正確に書きこんでもらえますかね。
こっちがハンドルでこの丸いのがシートで・・・」

「こっちに日付と署名をお願いします。」

「それから、えーとこっちはどう考えても駅方面じゃないし。」

おまわりさん、出来上がった地図に方角記号を書き込んだ。
さらに、矢印を引っ張って何か目印を地図の中に入れたいみたい。

「あの、このまま矢印の方向へまっすぐ坂をおりたら
デ●デ●がありますよ。」

目安になるっていったらこれが一番わかりやすいんだけどな。
大型電気店を案内した。

「んーーと、【２丁目方面】って書いとくか。」

だから、その２丁目方面にデ●デ●が・・・ってか、
おまわりさん人の話ぜんぜん聞いてないっすね。

そしてもう一人、今度は届出用紙を記入してるおまわりさんが
顔をあげて聞いてきた。

「あの、これってどなたの自転車ですか？」
「年齢と職業は？」

ここらへんは防犯登録証を直接渡した方が早いでしょ。
手元に持ってたやつをそのまんまおまわりさんに預けたら
自転車の詳細を写し始めた。

もう一人のおまわりさん、地図を清書して下書きも消しゴムで
丁寧に消したところで隣の届出用紙をちらとのぞきこむ。

「あれ、何これ。午後１２時ってなんじゃい。」
「わけわからんし。」

どうやら、地図を作ったおまわりさんが先輩みたいだね。
後輩が作る届出用紙にあれこれミスが発覚し
あちこち指摘する。

「・・・・・・・・えーと。」

気の弱そうな後輩おまわりさん、届出用紙をいったん全部
埋めたけど先輩の指摘にピンとこない。

「午後０時ですかね？」

「ほうよ。午後１２時っておかしいじゃろ。」

おまわりさん、顔を見合わせなくたっていいですから
はやくしてくださいよ。車でアイリが待っとるし。
映画始まっちゃうんですけど。

後輩おまわりさんが「１２」を二重線で消して「０」に
訂正する。
そして、まだあった空欄をうめるべく別の質問をあたしに
してくる。

「あのぅ、自転車ってですね、こちらに書き込む値段は
時価なんですよ。
えーと、新品で購入した時点では１万円くらいですか。
でも、購入して２年近くたってますけどこれを買うなら
今じゃどれくらいの値段が相場ですか。」

・・・はぁ。　そんなこと言われても。

そこへ先輩がツッコむ。

「かる～～～～く考えりゃええのよ。自転車の時価ったってさぁ。」
「あんまり深く考えて聞かんでも、適当に入れればいいのよ。」

あの、ツッコミとボケの役割分担がしっかりできてるんですね。
でも時間がないのでゆっくり楽しむ暇はないですが。

「・・・あの、リサイクルショップで買えば５０００～６０００円くらいだと
思いますよ。」

時価５０００円の自転車の盗難届は、あちこち失敗だらけ。
何も聞いてなかったけど、仕事用のバッグにはいつも認め印を
入れている。
よかった。役に立ちそう。

署名の右に１箇所。
それ以外に失敗した黒い塗りつぶしやら二重線の上を
かすれないように丁寧に訂正印を押していく。

わーい　印鑑だらけ♪

ってか、おまわりさん映画見に行くんですってば！！

あちこち訂正印だらけの届出用紙を
先輩おまわりさんが凝視する。

「いえね、もしも間違えたままだったらも一度
来ていただかないといけないもんですから。」

「あ、もし自力で見つけたときは、その時も自転車を
持ってこちらに来てください。」

「自転車を確認して盗難届の解除をしないといけないんですよ。」

「えーと、それから・・・」

こちらがお願いにあがるわけですし、
自転車はどしても通学に必要だし、
続きはのちほど伺いますと逃げるわけにもいかないし。

で、最後までおまわりさんのお話につきあって
どうにかギリギリで間に合いましたさ。

『ハプニング』でハラハラして、
『ポニョ』で流行りの波にのる。
２本続いても上映時間が短かめなので帰宅はコマユと
ほぼ同時刻。