昨日の鍵の一件で思い出した。

そういや、コマユが一度家の鍵を忘れたときに
ちょっと怒ったような気がする。

いや、たしかに怒ったよ。

当時は普段は家にいたけど時々留守にするときに
帰宅時間に家にいないことを伝えてちゃんと鍵を
持つように言っていた。

「ここに置いとくからね。」と注意したのに
きちんと聞いてなかったから。

聞いてないのはコマユが悪いと思うから怒ったけど
かなりの時間待たせたのでそこはかわいそうとも思った。

けどコマユにしてみれば大事な話を聞いてないので
怒られたことよりも家に入れなくて心細かったのに
されに怒られた事がトラウマになってたみたいだ。

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親はすっかり忘れていた事が実は子供には
ぐさっと傷ついてたりすることがあるかもね。
（忘れる以前に自覚してないことだったり）

ほかの子はどうだろう。

と思って聞いてみた。

アイリの返事がきた。

"ソファーに寝たときコマユの顔にあたってすっごい怒られた。"

やっぱりアタシだよ。

やっぱりアタシ怒ってるよ。

それもちゃんと覚えてるよ。

アイリが幼稚園、コマユが入園前のころと思う。

ソファーに寝っころがったアイリが足を垂直にあげて
すっとんとおろした。

ら、その時タイミング悪くソファーのすぐそばをコマユが
横切った。

がし。

勢いよくおろしたアイリの足のかかとが
コマユの顔を直撃した。

一部始終を目の前で見ていたあたしは思わず

きゃああああ！！

悲鳴をあげて何が起こったかわからなくて呆然と突っ立ったままの
コマユを抱きかかえた。

そしてアイリの方をむいて

気をつけてよっっ！！

感情的になってきつい言葉を投げた。

その瞬間コマユの鼻から

つつつつつーーーーーーーーーー。

鼻血がつつつつーーー。
両方から鼻血がつつつつーーー。

もう骨が折れたんだろうか大丈夫だろうかって
そりゃ心配で心配で。

でも最初から見てたんだもの
アイリだってわざとじゃないってちゃんとわかってた。

あとできつく言いすぎてごめんねってあやまった。

でもアイリ、あの時のことちゃんと覚えてたんだ。

そのことをさらにコマユに聞いてみる。

「うん、アイリのかかとおとしをくらった時ね、
覚えとるよ。」

「なんかよくわからんかったけど、すごいタイミングで
足がふってきたんよ。」

そうなんよ。

でもね、ふつう歩いてて顔の高さに足が落ちてくるなんて
ないもんね。

なんでそうなったかゆぅたら、ソファーがあったけぇよね。

あたしが小さいソファーでいいから欲しいって言って
買ったんよね。

よく考えたらね、小さい子供が三人もいる家で
６畳の部屋にソファーを置くことに無理があるよ。

ソファーを置いたのがいけんのよ。

「・・・じゃ、ボクが鼻血を出したのは親のせいじゃね。」

ま、そういうことじゃね。

すまん。