高校生活もなかば、コマユがとうとう塾デビューをした。
高い高い授業料払うんだからね、これからは部活だけじゃなくて
お勉強にも力入れてもらわんとね。
そのあたりはコマユもよーくわかってるらしく、
うちでだらだらゲームしていた時間を塾での自習にあてるようになり
部活との両立もどうにかメドがたったようだ。
(あれ?)
塾での顔ぶれは全員が初めてではない。
中学校が同じだったり、中学時代の塾で一緒だったり
試合でみたことがあったりと、同じ高校の友人はいなくても
案外知っていたりするものである。
(どっかで見たことあるなぁ)
コマユの記憶が正しければ、他校のその制服は
えーとえーと。
(市立大会!)
そう、試合で時々顔を合わせる
他校の選手であるよ。
むこうもコマユのこと覚えてたみたいだね。
「ヌマッチョのバレー部よね?」
「うん。試合で会ったことあるよね。」
アチャキタ高校とヌマッチョ高校
学校は違えど、バレー部つながりで口をきくようになった
ダダくんとコマユの二人は、すぐに仲良しになる。
「キヨサカくん、お願いがあるんじゃけど。」
仲良しのダダくん、コマユに頼みがあるみたい。
でもさ、塾のキャリアはダダくんの方がずっと長い。
偏差値だってダダくんの方がずっと上だよ。
コマユにできることがあるのかな。
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「ただいま。」
コマユが帰ってきたよ。
部活のあと塾の授業、今までよりもさらに帰りが
遅くなったけど、それでもコマユは授業がない日も
自習をして帰ってくる。
いちお、メールをくれるけど今日はずいぶん遅いよ。
まっすぐ帰ってきたのかね。
「ダダくんの相談にのってたんよ。」
「今度、ダダくんと遊びに行くことになった。」
「ボクも入れて全部で4人で。」
ふーん。
「でも、よく考えたらすごい気が重くなってきた。」
なんで??
ダダくんは、ヌマッチョ高校の女の子に思いを寄せている。
その女の子はコマユも知っててメアドも知っている。
ははーん。なるほどね。
2×2で遊びに行くってわけか。
「そうなんじゃけど、よく考えたらダダくんはいいけどね、
ボクは好きでもない女の子と途中1対1になるんよね。」
「でも取りもつかわりに勉強教えてくれるって。」
「ボクより偏差値10以上違うけぇね。」
「ダダくん頭いいけぇ。」
ふーん。じゃ、好きな子誘えば???
「おらんのよ!!」
なーんだ
じゃ仕方ないじゃんか
(嬉しい)
じゃお勤めだけ果たしなさい。
(ママ安心)