いつか買おうと思っていたお菓子がある。
駅の近くとか、大きな通りとかで看板をみたのか
地下鉄の中吊広告か、あんまり覚えてないけど
アイリの寮に出かけるたびに、今回は買えるかなと思ってても
結局あとまわしにしてるうちに買えなかったお菓子である。
このたびもまたまた見つけた。
アイリが引っ越すアパートはJRも私鉄も歩いて5分のところにある。
二つの駅の間にそのお店があるのを偶然発見した。
「えー?こんなん知らんかった。おいしそうじゃね。」
市内に住んで2年になるのにアイリもまだ気がついてなかった。
あたしはもうずっと前から目をつけてたよ。
とはいえ、その時は不動産のおにぃさんと約束した時間がおしていた。
仕方ないけど、今日は時間かかるからまた今度よね。
そう言ってもう一年以上買えずじまいだけどね。
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そんなんで、今回もまた買えそうもないまま時間は過ぎて最終日。
祇園山笠のビデオが見たくなってふるさと町屋館(名前は正しいか覚えてないが)へ
アイリと出かけた帰りのこと。
あった!
いちご大福あった!
地元で売ってるのは小豆のこしあんで包んだいちご大福だけなのね。
白あんで包んだいちご大福は、高知のなんとかってお店で買った
一日30個限定の「あまおう大福」なんだけど、これがまたおいしかった。
あまおう大福に比べたら小ぶりだけど、ひさびさに白いあんこの
いちご大福をこっちに来たとたん思い出してまたまた食べたくなってきた。
もうバスに乗って帰るだけだから迷うことなく、店内に入る。
「いらっしゃいませ。」
おねぃさんが、笑顔でお出迎えだよ。
あの、「ダ」的な大きな声だしではなく、
上品な笑顔だよ。
こんなこじんまりした上品なお店では大声は必要ないけどね。
さて。
箱詰めしてあるいちご大福を買うけど、
となると、アイリはどうしよう。
バスに乗る前にバラでひとつ渡してあげようか
と、思ったらバラ売りで冷やしてあるのもあった。
店内をくるりとまわってアイリはいちご大福と桃大福を一つずつお買い上げ。
あたしはバラ売りのブッセとかフィナンシェとか選んで手に持ってると
「どうぞ、お持ちくださいませ。」
別のおにぃさんが選んだお菓子を入れる籐カゴを渡してくれた。
おぉ、すいませんね。
せっかくなのでブッセもフィナンシェもいちご大福も桃大福もカゴに入れて
最後にいちご大福をひと箱持ってカウンターのおねぃさんに渡した。
レジでお金を払って、いちご大福を保冷袋に入れてくれるわずかの時間に
またまた別のおねぃさんがやってきて
「よろしかったらどうぞ。」
とコーヒーを入れてくれましてん。
もうお金を払うところだったけど「ごゆっくりどうぞ」というお言葉に甘えて
アイリと二人でコーヒーをごちそうになりましてん。
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1000円ちょっとのおみやげで三人がかりの接客で
コーヒーまでいただきましてん、ずいぶん行き届いたお店ですねんと
思いましてん、満足してお店を出ましたよ。
交通センターに着いて、紙袋の中からアイリの大福だけを
とっておこうと覗いたら、アイリが「あれ?」と言った。
「袋、ちゃんと分けてあるよ。」
カウンターにいたおねぃさん、アイリとあたしがお菓子を選ぶのを見ていて、
バラ売りの桃大福といちご大福はアイリの取り分だとちゃんと分かって
袋詰めしてくれていた。
でも、桃大福のあった場所はカウンターからは背中合わせになるので
手に取るところまでは見えないはずだったのに。
アイリのバッグに直接詰め込んで持って帰るつもりだった桃大福といちご大福は
ちゃんとちっちゃい紙袋に詰め替えられてつぶれることなく持って帰ることができた。
おねぃさん、心づかいありがとう!
如水庵ブラボー!