子どもだった頃、欲しいものがあると当然親におねだりした。

それが、仮面ライダーのアイスなら小銭をもらって
昔ながらの●●商店ってとこに買いに行っていた。

それが、ドレミまりちゃんの自転車とか
それが、リカちゃんハウスとか
それが、二段ベッドとか

小銭ですまない金額だったらお誕生日やクリスマスまで
とにかく待ってといつも言われていた。

でも、どんなに欲しいとねだっても何年越しかでねだっても
とうとう買ってもらえなかったものがある。

近所には自分も含めて同い年の女の子が３人、
ひとつ違いやふたつ違いを含めると結構あたりは女の子だらけで、
いつも遊びに行く仲良しの友達の家には当然のように置いてあって
我が家だけは何年たっても買ってもらえることはなかった。

それは、若い親が幼い子供に買ってやるものじゃなくて
嫁いだ娘へ初節句のお祝いとして実家が用意するものなんて
知らなかったから。

私にとっての母方の祖父母は戦争でとっくに亡くなっていたので
買ってくれるとしたら父母しかいなかったのだ。

結局願いはかなわなかったが、
成長するとともに忘れたようでいて
でも心のどこかでは小さい安いのでいいからいつか欲しいとは思っていた。

結婚して最初の春、ようやく念願かなって我が家にもやってきた。

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押入れの天袋と下段、どすこいと幅をとる段ボール、
おかげで収納スペースは激減なんだけど、それでも手放せないのね。

腰を痛めないように気をつけてイスにのっかって天袋からそーっと
横に広い段ボールの箱をおろす。
下段の箱は軍手をはめて横にちょとちょこずらしながら
引っぱり出す。

今年もようやく出した。

２２年前のものなのね。

飾り台の畳は色あせちゃったけどまだまだ大丈夫。

　　　

最初の数年は小物をどうおいたらいいのかわからなかったので
見本のカタログなしでは飾れなかった。結構こまかい。

　　　
　ここはたぶん失敗である。

　ほらね、烏帽子をくくるひもの長さが左右が・・・。

　　　

やりなおし。

顔に直接さわっちゃいけないので（指の油分がＮＧらしい）
あたらないようにしてひもを対称にきれいに結ぶのが結構むずかしい。

できた。

完成。

受験の時は茶の間も勉強部屋になるので出せないけど
それ以外の時は毎年飾っている。

押入れのこやしにする人が多い中でこの時期忙しくても
せっかく飾っても短い期間しかないってわかってても
どうしても飾りたいと思うのは幼い頃に我慢を覚えさせてくれた
おかげだろう。

チイヤの初節句に合わせて買ってくれたけど
もうあたしのものになっちゃった。

だってあたしも女の子なんだもん。

ニャハ