春休みです。

４月です。

新年度です。

忙しいのには変わりない。

でもこの時期ビミョーに違うのは、新生活を始める人が多いってことね。
ということは、生活用品の購入が多いってことね。

おまけに新年度の準備で文具やら事務用品やらを
新しくする人が多いってことね。

さらに、お部屋の模様替えも年末とならんで新調する人が多いってことね。

なので、暇つぶしにくるわけでなく
必要に迫られてご来店のお客様が多いってことね。

「百均でも行こうか。」と暇つぶしでご来店になって
お子ちゃまにおもちゃとお菓子と、目に付いたものを
ちょこちょことお買いものの家族連れと、

「百均で揃えなきゃ。」と少しでも生活用品を安くあげるために
ご来店のフレッシャーズのボクちゃんと、

三月後半からは いろんなお客さまがいらっしゃる。

ああ、忙しい。

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そんな忙しい時期のレジに入るときは要注意である。

いや、いつだって慎重にはなるけどね、
日曜・祝日はいつにもまして緊張感が増す。

でも、最近は出勤日は毎日がそんな感じ。

一回のレジは最長で１時間。
交代で手間取ることもあるので実質はもう少しかかる場合もあるが
基本一時間、これが緊張感を持って集中して行うぎりぎりの時間である。

無事に一時間のレジを終えて、次のメンバーと交代した。
じゃ、自分の縄張りに戻って残った時間は商品出しを
がんばらないと、今日中にかたづけなきゃ。

ＲＲＲＲＲＲＲＲＲＲＲ・・・。

電話です。　外線電話です。

たんなる商品問い合わせだったらいいけどな。
ややこしいクレームだったら、時間つぶれちゃうし。

「お電話ありがとうございます。グリャマンボ店のキヨサカでっす。」

「あのー！　キヨサカさんて方いらっしゃいますか？！」

はい、だからアタシだってば。
でも、さいしょに名乗っても電話の相手はほとんど聞いてないんだけどね。
ってか、指名されるってことは多分レシートを見てるに違いない。
２Ｐ３Ｐの入力ミスか、それともカウントミスか、何かだろうか。

※　２Ｐ３Ｐ→２個で１００円、３個で１００円の商品を
１個１００円で入力してお買い上げ金額を多く預かるミス。

「あの、わたくしですが。」

「え！　キヨサカさんですか？！」

「あの、さっきなんですが、ついさっきなんですが、
あなたのレジで買い物したばかりなんですが！！」

この口調は、きっとそうだろう。
あぁ、シュワボーとかビスコとか、特に迷ったとか怪しいのは
なかったんだけどなぁ。

「はい！　お買い上げありがとうございます！」

こういう場合、とっさにお礼を言い多少インターバルを置くことで
お客様の不快感が軽減される場合もある。
些細なことであるけど、こうした先手をうつのも大事である。

「あの！　ボクは一万円払ったのに、お釣りもらってないんですよ！」

へっ？

次のお詫びの言葉を頭の中で考えていたけど、
浮かんで並べていた言葉が全部ふっとんだ。

どゆこと？？

「ついさっき、買い物して、帰ったばかりなんですけど。」
「お釣りもらってなかったんです。」
「一万円払ったから８８００円お釣りもらうはずなのに。」
「８００円しかもらってないんですよ！」
「これ、おたくのレジでも計算したらわかるでしょ！」
「レジ売上金額より現金が多くなるはずだから。」
「返してもらえますよね！？」

へっ？？

お客さま、矛盾してますよ。

財布にホントに一万円用意してたかどうかはわからないけど
あるはずのお金がないんじゃ、自分の言い分がおかしいかどうかなんて
気がつかないんだろう。

一万円払って、小銭しか戻ってこないならそりゃ慌てるのもわかるけど。

でも、もうあたしがお釣りを間違えてるって決めつけて怒ってる。

やんわり、やんわりと聞いてみるか。

「お電話ありがとうございます。」

「申し訳ございませんが、レシートはお手元にお持ちですか？」

「それでは、レシートに記載されてるお買い上げ点数・お買い上げ金額・
お預かり金額・お釣りを確認させていただきたいのですが。」

「レシート？！」
「ええ！！ありますよ！！」
「１５時３５分です！」
「名前はキヨサカさんって書いてます！」

はい、間違いないですね。
間違いなく、ついさっきまであたしがいたレジですね。

ですがお客さま、その続きを聞きたいの。

「えーと！」
「買ったのは２つ。」
「２１０円。」

「はい、２点お買い上げで２１０円ですね。」
「それでは、レシートにはお預かり金額は１万円となってますか？」

「え、と、２１０円・・・、あれ？！」

「そうですか・・・。」
「それでは、２１０円のお預かり金額ですと、ちょうどの金額なので
レジからはお釣りも出てこないしくみになっているんですが。」
「なので、レシートのみお返ししていると思います。」

「あ、あ、あれ・・・？？」

「わたくしが、お客さまからお預かりした一万円札を間違えて２１０円ちょうどで
レジに入力したら、９７９０円の誤差が出るはずなんですけれども・・・。」

「あの、ただいまレジを次の担当と交代したばかりで、
今日いままでの時間の売上金額と現金の相違がないかどうかを
両者で確認した上で交代したばかりですので、今のところは
プラスの誤差は出ていないのですが・・・。」

「申し訳ございませんが、今ここで返金しますとはお約束できかねます。
ご納得いただけなければ、上の者と相談して後ほどお返事をさせていただきたいのですが。」

「えっと、もしかしたら、ここへ来る前に寄った店かも。」
「えっと、よく思い出してみます。」

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いちお、リーダーには報告をした。

でも、さらに上の者モーコハラ リーダーには報告しなかった。

お客さまからは、その後連絡はないので多分勘違いだったんだろう。
ふー、あぶないあぶない。

お客さまは、カッカきてたけど
最初に変だと思った。

８８００円のお釣りをもらってないということは、
２２００円のお買い上げである。

「ダ」では２１００円のお買い上げはあっても２２００円はない。
２２０５円のお買い上げはあっても２２００円はない。
どんな組み合わせでそんなお買い上げ金額になるんだろう。
アバウトにそう説明したとしても、お釣りが８００円きっちりということはあり得ない。

だから、お客さまが店の者に説明するなら、

「７９５円のお釣りはもらったけど８０００円のお釣りはもらってない。」
「小銭はもらったけど８０００円のお釣りはもらってない。」

のどちらかの説明をされるのである。

レシートを読み上げてもらったらお買い上げが２０点でも２１点でもなく２点。
たぶん、１ケタごちゃごちゃになってるんだろう。

もひとつ、お客さまの勘違いだと思ったのには他にも理由があった。

一時間の間、一万円は一枚もあずかっていないのだった。

あたしがレジに入った時には千円札は６０枚をきっていた。
５０００円札はたった１枚。
これは、一万円札での支払いが続いたら、あっというまに
千円札が足りなくなっちゃうよ。

やばいよ。

一万円札が１４枚・５０００円札が１枚・千円札が５９枚。

レジを交代した時から、この枚数が頭の中に入ってた。
頭の中で千円札はアバウトに加算され、
５０００円札に限っては一枚ずつ、きっちりと
脳内でカウントされていたのだった。
（ちなみに一万円札はあずかると表にチェックをそのつど入れる）

一時間して次のメンバーに引き継いだ時、５０００円札だけが
３枚プラス、一万円札は１４枚のまま。
千円札だけが８０枚を超えたのを確認して
ようやく「ただいま千円札が不足しております。」
のＰＯＰをはずしたのだった。

お金のやりとりの間違いは絶対にあってはならないのだけど、
高額のレジ誤差は大きなクレームにつながる。

それが、たとえお客さまの思い込みだとしても、そうだと自信をもって
説明できなければお客さまには納得してもらえない。

お客さまに間違いはあっても仕方ないけどね、店側には間違いはあっては
いけないのだ。お店の信用を失うことは、他のメンバーにも大きな迷惑がかかるということ。

そんななので、ミスせずレジで連続で続けるのは１時間が限度なのである。

頭の中は、ぞうきん絞ったかのごとくカラカラのスカスカになるのである。

ノーミスを求められるのは、真央ちゃんだけじゃないってことよ。
アタシは４分どころじゃないぞ。
（ちょっとちがうな）