まだうちの子どもたちが幼かった頃、
近所にチホちゃんというコマユと同い年の女の子がいた。

チホちゃんの泣き声は、ボリュームマックスで
そりゃあ けたたましいものだった。

チホちゃんは、気持ち悪いものが嫌い。
チホちゃんは、けったいなものが嫌い。
チホちゃんは、嫌いなものを見たら、ボリュームマックスで
けたたましく泣いた。

チホちゃんが気持ち悪くてけったいに思う基準は、
子供部屋に転がっていそうな『首だけとれて胴体がどっかいっちゃったお人形』とか、
オリエンタルムードを醸し出す『アジア～ンチックなお面』とか、
決して霊的なものでもなく、
決してグロいものでもなかった。
まぁ、日常生活にありきたりな、さほど気にならないものだけど
チホちゃん的にはアウトだったのだ。

そのチホちゃんとおかあさんが、うちにやってきて
玄関先で話をしていた時のこと。

ぎゃおーーーーーーーー！！！

チホちゃんが泣いた。

けたたましく泣いた。

ボリュームマックスで泣いた。

なんで突然泣き出したのか、さっぱりわからなかったけど
おかあさんにはわかったようだった。

何？　何？　

「・・・ごめんね、キヨサカさん。」
「うちの子、多分アレがダメなんだと思う・・・。」

チホちゃんのおかあさんが申し訳なさそうに指をさす、その壁面に。

指をさす、その壁面に。

チイヤが生まれて初めて贈った、
父の日の心こもったプレゼントが。（１９９０年代初期作品）

心こもったプレゼントも
見る人によっては

けったいで気持ち悪い。

けったいで気持ち悪いモノ２
（アイリ作・１９９３年製）　

けったいで気持ち悪いモノ３
（コマユ作・１９９０年代後半）

きよし師匠かと思ったよ。

でもいいんだよ、子どもたちがお父さんの顔を思い浮かべて
一生懸命つくったんだから。（全然似てないが）

だから捨てられないの。

日付変わって今日は父の日だけど。

お父さんは教育ローンの返済、お母さんはコマユの仕送りを稼ぐため

目が覚めたらお仕事へいってきます。