なんだか降り出しそうな梅雨空の日曜日。
こんな日はたいていクソ忙しかったりする。
中途半端な天気で、遠出を控えたお客さまが
近場の買い物ですませるからである。
思った通り、家族連れも友達同士もカップルもわんさかの
ごった返しの店内であった。
こんな日は発注もあきらめ、
商品を出すこともできないと割り切って、
接客とレジに徹する日としている。
業務以外はなるべく事務所にこもらずに
フロアでお客さまへのご案内を心がけるのである。
「まぁ、これ本当に有田焼なんですか。」
陶器のお茶碗を手にとってご覧のお客さま、
まじまじと眺めて感心されているもよう。
「有田焼が100円で買えるなんて・・・。」
そうですよね~。
フツー、こんなちっちゃい湯飲みだって高いんだもの。
105円で買えることは買えるんですけどね。
「はい、有田焼なんですが国産じゃないんですよ。」
一言、そう説明しちゃったもんだから
お客さま、直後の声のトーンが変わる。
「は?! どうゆうことですか?!」
黙っててもいいんだけど、
でももしお買い上げになったらね、
商品名のシールみたらわかっちゃうもんね。
「まぁ! ほんとだ!!」
「メイド イン タイランド?!」
「えーっとですね、・・・」
「職人さんが、直接タイに出向いてですね、」
「現地の工員さんに直接指導をしながらですね、」
「同じ製法で作るという・・・」
「なので、工賃を抑えてコストダウンをはかることで・・・」
プロの職人が現地指導で商品化が可能になってからは
陶器の商品はアイテムが豊富になった。
しかも、業務用にと まとめ買いが多いせいか
売れれば売れるほど種類はどんどん豊富になっていく。
気候の違いで温度や湿度の影響が商品にどう現れるかは
わからないけど、お客さまは納得されたもよう。
「まぁ~~、そういう方法もあるんですねぇ。」
はい、そうなんですよ。
とはいえ、立派な国産もそろっている。
バイヤーがイチオシの有田焼は国産だとさすがに105円では
無理のようで、210円からの商品展開である。
国産と外国産、比べて見ると確かに仕上げは全然違うなーと
いうのが正直な感想。
でも、うちは休肝日はなしのカズヲさんが
酔っぱらって使うから105円でいいや。
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さて。
仕事を終えて家に戻ると
携帯にメールが一件届いていた。
コマユです。
なんだい?
今日は父の日だよ。
あたしじゃなくてカズヲさんにメールしなさいよ。
メールを開いてみる。
本文: ソファが欲しいんじゃけど、
安いのでいいけぇ、さがしてみてくれんかね?
まだ、ネットをつないでないので、
近所では目ぼしいソファが見つからないんだろう。
相変わらず、あれもこれも欲しい欲しいって
おぼっちゃまなんだから。
ぱぱっと探して二人掛けのソファの画像を送ってみる。
気にいったら、注文するけどどうよ?
ソッコーで返事がきた。
本文: 地味な色でいいよ。
着払いでいいんかね?
「お金、払ってもらえるん?」と聞いてこないで
「着払い」とあくまで自腹をアピールするとこが、
なんかビミョーに、親ごころを揺さぶってくるじゃないか。
いや、それくらいいいよ。着払いだと手数料かかるし。
カードだとポイントつくしね。
バイト料は初めてもらうんだから、買いたいものが
あるだろうよ。
そう送ると、
またまたソッコーで返事がきた。
本文: あざす
何なの! そのシンプルなお返事は
(なんだか、やられた感が)
多分外国産ソファ~