事務所の奥、ショップメンバーが昼休みを過ごす机の上に
お菓子がてんこもりになっていた。

休みに、家族旅行へ行ったメンバーがおみやげを買って
持参してきた場合は、たいていこの机に置いてある。

この置きっぱなしのおみやげは、

"みなさんどうぞお召し上がりくださいまし。"

の暗黙の合図である。

夏休みということもあり、毎日のように
旅行やら帰省やらをすませたメンバーが持ってきてくれた
バラエチーに富み地方色豊かなおみやげたちが
机の上をにぎやかにしている。

これは？？？

おぉ！　「ダ」のようで「ダ」でないけど、
だいたい「ダ」のアイテムでうめる
はねトビのお買いものコーナーではないの。

ちうことは、お台場みやげやね。

「これね、見た目はソーダ味のキャンディなんですけどね。」
「いろんな味があるんですよ。」

ワッキさんです。
過去の女子会では食べまくってお騒がせのワッキさんです。

「ほらね、書いてあるでしょ。」

ワッキさんが、キャンディーのボックスの向きを変えて
指をさすと、そこには

"見た目はソーダ、レモン、リンゴ味・・・あるらしいわ"

水色のソーダ色のキャンディは、フルーツ味のキャンディも混じっていると
説明書きがあった。

「まだこんなにいっぱいありますよ。」
「おとといからここにあるし、みんな一通り食べたでしょ。」
「ということは、まだ二つ目食べても大丈夫。」
「いただきます。」

ワッキさん、二つ目のキャンディーをぽいっと口にほうりこんだ途端に。

「きゃーっ♪　大当たりー♪　レモンだー」

「え～～～いいな～～～～あたしももひとついいかな～～～。」

ワッキさんの目の前のチルミーさんがうらやましそうに言った。

「もう３日目なんだし、ひととおりメンバーには行きわたってますよ。」
「さ、さ、どうぞ。まだこんなにありますもん。」

ワッキさん、チルミーさんにソーダ色のキャンディを一つ
どうぞと渡した。

チルミーさんもまた、二つ目のキャンディーを口にほうりこんだ。

「んーーーー！あたしもレモンだーーーー」

しばらくだまって成り行きを見ていたけど、
ここで初めてあたしが口をひらいた。

「えっとね、ワッキさんってショップメンバーになって
一年過ぎたとこだよねぇ。」

「はい？そうです。」

「チルミーさんは、えーと、何年だっけ？」

「２年過ぎました～～～。」

「あたしさ、そのクサカベさん（８年目）のお台場みやげ
まだ一つも食べてないけど。」

「三連休だったもんで、今日初めて見たんだけどそれ。」

「ちなみに、あたしはですね、わかってると思うけど
オープン当時からここで働いておりますので一番の古株ですが。」

ちょっと意地悪こいてしまったが、
ワッキさんとチルミーさん、二人同時に

「きゃーーーーっ　すみませんーー」

とびっくりして、キャンディーのボックスから水色のキャンディーを
一つとりだして、

「ささ、どうぞどうぞ！！」

と手渡してくれた。

ちっ、最近の若いもんは。
年功序列って死語じゃね。

ま、帰ってたべよ。（とりあえず満足）

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うちです。

クサカベさん、ほかにも我が家用に
東京みやげを買ってきてくれた。
ありがたいありがたい。

でも、それを食べるまえに
さっきのダイタイソーのキャンディー食べちゃおう。

どこからみてもソーダなんですが、レモンもリンゴも区別が
全然つかないんですよ。

口にぽいっと放り込んだ。

「・・・・・・・・・・。」

ソーダじゃね。

なんのへんてつもないシュワーってするソーダーじゃね。

・・・なんか、あの二人に負けた気がするのはなぜだろう。

　　　　ちきしょう。