カテゴリ:家族・実家も北米
妹は結構ドジだ。よくつまずいてビチャッと倒れたりしている。(コチラでは「faceplant」という:「Wow, she did a really good faceplant! That's gotta hurt!」という具合だ。)
自分の事を棚にあげてこう言ってはいけないのだが、眼の前に柱があると殆ど必ず思いっきりぶつかる。階段でもつまづく。飲み物を運ぶとまずこぼす。 「笑っちゃいけない!」と思っても無駄。小さいころは心配していた母まで、このごろは「あ、あそこ、つまずく!やった!やーっぱり!クーックック、全くあの子はこんな歳になっても...」と思わず笑いを抑えきれずにいる(が、アタクシが笑っていると叱る。アタクシ達、ヒドイ...)。妹も自覚しているらしい。 この妹と釣りに出かけると、いつも大変だった。湖にはまるわ、餌をこぼすわ、車に忘れ物を取りに行って迷子になるわ、リールのラインをこんがらがすわ、さんざんだ。わざとではなく、本人は一生懸命な努力家なのだが、どうも面倒みきれなかった。そんな妹の手を取り、祖父はいつも優しく色々教えてくれていた。 ある日、また海辺に釣りに行った。祖父はその日の釣りには桟橋から「ゴカイ」を使うとはりきり、アタクシ達はまず「ゴカイ狩り」をさせられた。 「ゴカイ」は嫌いだ。ゲジゲジのミミズの様で、やたらと大きいのが多く、その上最悪なのは噛みついてくる。大きいものは子供のアタクシの指の太さある。気持ち悪いのと噛まれるのが怖いのとでアタクシはやる気まったくなし。 海辺の石をひっくり返せばウジャウジャいるが、ゾゾゾゾッと逃げ足が速い。だが、まさかおてんばなアタクシでも素手でつかむとなるとちょっと... 妹は一生懸命「あ!いた!」とつかんだところ、手に食いついてきたゴカイがくっついてしまって痛いのと気色悪いのとでパニック状態になった。 それからはアタクシ達が石をひっくり返したところを祖父がゴカイをつかむという二人三脚ならず三人二脚の様な面倒なことをしてゾロゾロと沢山ゴカイをつかまえた。 それまでは、まだよかった。いざ釣るとなると、この奇怪なゴカイをむんずとつかんで釣り針に... キャー... 今考え起こしてみただけで悪寒が... アタクシはこういうのに弱い訳ではないのだが、これだけは... ゴカイが怒って牙を向いて噛みつこうとするところにブスッとしなければならないのだが、やっぱり祖父が全部やってくれた。「いつもは自分でつけて偉いのにどうした?大物を釣るんだからたっぷりとね」と針から十センチ垂らすようにゾロンとつけてくれた。 そして、しばらく釣った。桟橋がかけてある岩場から、面白いように釣れた。四十センチを上回るタラの一種で、いかめしい顔つきの魚。アタクシが次の魚を釣り上げようとしていたとき、そのトラブルがおこった。妹だ。 夢中でリールを回していたら、こめかみの近くにキンッと痛みがあり、ピチャッと頬に濡れたものが当たった。 「あーっっごめんっ大変っっあーっ!!」と慌てふためいている妹をみて、胃がズドッと落ちるような気がした。 アタクシにひっかけたのである。頭に、釣り針が刺さっている。慌てる妹が竿を落とし(落とすなっっ)、そのせいで引っぱっられたりして痛い。だが、それより、このピチャッと濡れた感覚... 「たっぷりと」「ゾロン」とつけてあるゴカイが、アタクシの頬にくっついているのだ。頭の中がマッシロになった。 結局祖父が手早く針を抜いて消毒してくれ、どうってことはなかったのだが、あーっ、思い出してしまって今晩夢に出てきてしまいそう。 ゴカイは、きらいだっ... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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