カテゴリ:華
[映像・母のネムの木] 昼は咲き 夜は恋ひ寝る 合歓木の花 君のみ見めや 戯奴さへに見よ 万葉集の紀女郎の歌である。随分艶っぽい歌。夜には眠る様に葉を畳むネムの木。 なぜ「こうかぎ」と書いて「ネムの木」と読むのか。 広辞苑で調べると「材は胴丸火鉢・下駄歯に、樹皮は打撲傷・駆虫などに用いる」ととても詳しく出ているのに肝心のこの「合歓木」という字の理由が出ていない。 いつか母に長々と説明されたが理由が根本的にははっきりしていなかった。「人間の喜び」の「合歓」、「男女の関係」の「合歓」。 数年前から、母は夏の後半になるとその花を観にこの都市の庭園を忙しくまわっていた。「道から見えるネムの木がどことどこの家にある」という情報を短歌会の仲間で色々集めて「ネムの木地図」を作り、おば様達で車で観てまわる、ということもしていた。血眼になって町中を運転しまくる様は、「短歌会」のゆったり、優雅なイメージの正反対。 二、三年たってもこの「ネムの木フィーバー」は冷めそうにもなかった。そこで、毎年母の誕生日プレゼントに困っていたので、「ネムの木」の苗木にした。珍しいのでちょっと高かったけれど、「母の日とお誕生日」を両方兼ねてプレゼント。植えて三年たって、やっと咲いた。今年でたしか咲いて三年目。 コチラではシルク・ツリーと言う。葉がさらさらとなびくし、花が絹糸に似ているからだ、と養殖場で教えてくれた。 昨日の久々の雨で、今年の「ネムの木」の花はついに全部散ってしまったそうだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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