テーマ:本のある暮らし(3286)
カテゴリ:不真面目文学
幼い頃からおとぎ話や転身物語が大好きなアタクシ。
「赤い靴」という物語に震え上がった。貧しい孤児のカレンは、ある裕福なおばあさんに拾われる。しばらくしてカレンは堅信礼の儀式に参加するための靴を、おばあさんと一緒に買いに出かける。カレンはいつか見たお姫様が履いていた様な赤い靴がほしいのだが、教会にそれを履いて行くには不適切な事を心得ている。だが、おばあさんの目が悪いのをいいことに、偽って赤い靴を注文してしまう。 赤い靴が嬉しいカレンは、教会でお祈りを疎かにしてしまうほど頭は靴の事ばかり。教会の出口で老兵がその罰当たりな赤い靴を褒めて、「踊る時には、ちゃんとこの足にくっついてるんだよ」と言いながら靴の底をポンポンと叩く。 カレンは叱られてもまた赤い靴を教会に履いて行ってしまう。そしておばあさんが病気になり、看病をせずに舞踏会に出かけてしまう。 舞踏会でカレンは踊り始めるが、休もうと思っても靴が勝手に踊り続けて止まらなくなってしまう。会館の外、暗い道、町のはずれの森の中、教会の墓地、とどこまでもどこまでも踊らされる。教会の入り口に大きな翼の天使が立ち、踊り過ぎるカレンを叱る。厳然たる表情の天使は、あの老兵の顔をしている。 ある日踊り疲れたカレンは刑吏の小屋の前を通り、「この靴を、私の足ごと切り取って下さい」と懇願する。カレンの切り取られた足は、赤い靴を履いたまま、森の奥へ踊り去ってしまう... という具合で、福音がおハコのアンデルセン作。その後教会で懺悔しようとするカレンを踊りながら遮る彼女の切断された足。ぞくぅっ。 シンボリズム豊かな「靴」に関する童話は他にも沢山ある様だ。同作家の、靴を汚さぬよう「パンを踏んだ少女」も怪奇な展開。 無意識にこの物語が染み込んでいるのだろうか。この歳になるまで実際に赤い靴を買ったことがなかった。だが、この夏初めて、恐々「赤い靴」を購入したアタクシ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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