テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:洋館の毎日
ムーミンの秘書Sが欠勤中、臨時にK嬢がピンチヒットしている。
(秘書Sに関しては離婚手続き中泣く、また泣く、夫ストーカー化、警察沙汰に、目下逃亡中。) K嬢は色々な事務所で職歴をつんでいて、前々から話が面白い。(仕事になってるのか、アタクシ?) 今日コピー室に寄ると、機械を半分解しなければならないほど紙がめちゃめちゃにこんがらがっているのをK嬢が直そうとしていた。あ、大変だね、と声をかけながら傍らで用事をしていた。本当に大変そう。手伝いたいけれど、アタクシなんか邪魔になるだけなので遠巻きにして横目でときどきチラリ。紙がコンフェティーの様に出てくる。 「すごいね。そんな奥まで手入れちゃって大丈夫?」見てるだけで冷や汗。「感電しないの?」と余計な心配をしていたアタクシ。 「ハッ。なれてるからね。お任せ。」と彼女は頼もしい。 見てて怖いよ、それ。「ううん、大丈夫さ。」とすかさず機械分解を続けるK嬢。ちょっとして、はた、と彼女の動作が止まった。 「ああ、ずっとしゃがんでて脚がしびれちゃった」と笑って立ち、「でも『コピー機が怖い』で思いだしちゃったけど怖い話あったな。」 「怖い話」で目がランラン、釘付けのアタクシ。へえ。どんな?まさか巻き込まれちゃったとか?と機械が噛みついてくる連想が勝手に頭をよぎる。 「いやね、ある事務所で働いてた頃ね」と切り出したK嬢。とんでもない話をしてくれた。ゾゾゾゾッ。高層ビルで夜遅くまでお仕事の方はご覧にならない方がいいかも。 数年前、ある大きな国の領事館も含む都心の有名なビルで、二十階にある弁護士の事務所に勤めていた頃の話だそうだ。弁護士によるが、裁判の前の晩など徹夜で書類を用意するなどまず日常茶飯事。新人で貧乏クジを引いた彼女はその日も弁護士の細かい指示を受け、事務所に一人残って深夜まで書類を揃えていた。全部見渡せるオープンプランの事務所。 彼女のコンピュータスクリーンは真っ暗な窓に面していて、仕事をしていると事務所を背にする姿勢。朝の一時になっても終わらず、二時になりそう。ああ、残業手当なんかいらないからはやく終わんないかな~と思いながら一心不乱に仕事をしていると、急に... 後ろでコピー機が作動して、紙を二十枚ほど続けて吐き出した。 ビクッ。 これだけでアタクシはギエェェなのだが、彼女は強い。 勿論だれもいない。急な音に飛び上がったけど、ああ、数時間ごとにワームアップするために作動するのかも?でも前にこんなことなかったけど?ま、いいや。と14枚、15枚、16枚と白紙を吐き出すコピー機を一瞥した後、仕事続行。 これからが怖い。つづく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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