テーマ:愛しき人へ(903)
カテゴリ:不真面目文学
ネルーダの詩で一番泣けるのが、「ラ・ムエルタ」。嘆きの悲鳴にも、ほとばしる血潮の希望の宣言にも聞こえる。
一番好きなくだりをアタクシ流に日訳すると、 いや、許しておくれ もし貴方が生きていないなら もし貴方が、最愛の貴方が もし貴方が死んでしまったなら 我が胸にすべての葉が落ち 我が魂に夜も昼も雨が降り 我が心を雪が焦がし 霜と炎と死と雪とともに行く 私の足は貴方が寝ている所へ歩もうとするだろう でも私は生きていく 私が不撓でいることを 貴方はなによりも望んだから 胸が潰れるような嘆きを見事に書き表している。全体を読むと、「貴方が死んでしまっても私は正義のために戦い続けねばならない」というネルーダの理想論だ。 西語は日本語より構文が単純だし、苦手なので訳するのに気を遣う。そういえば、今自分でつたなく訳してみるまで日本語で読んだことがない。 「私の魂に夜も昼も雨が降る」という節を読むとき、実際雨が降っていても、いなくても、心底までずぶ濡れになる。 心のなかでそっとつぶやく。 ヨヴェラ・ソブレ・ミ・アルマ・ノッチェ・イ・ディーア。 アンダレ・コン・フリーオ・イ・フエーゴ。 イ・ムエルテ・イ・ニエーヴェ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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