カテゴリ:不思議な友
いくら田舎大陸北米と言っても、今時電気・電話・水道・ガスなどが通じていないところで暮らしている人間はあまりいない。
だが。 アタクシの家族にそういう生活を好んでしていたおバカがいる。反抗妹E だ。 この数年間、彼女はある野生児と同棲していた。彼は、お世辞にも「風変わり」とは言えない程法外な偏屈だった。 「職業」で人間を序列化・品定めするのは嫌いだが、 「俺の天職(vocation)はハンターだ!」 と自信満々に言い切るような男。 ハンターだぁ? この発言を聞いた時、アタクシの脳裏をバンビとその母親がピョーーンッ・ピョーーンッ・ピョーーンッと楽しげに飛翔する姿が横切った。 いくら何でも。 ハンターって...? 聞き間違えたのだと思った。 ハンターって、えっと、秋には北の山奥で狩人のガイドををなさってるとか、そういう意味ですか? 「いや、俺はハンターだ。狩猟をするために生きている。」 ... ... ...ばっかでぇ~~~っ。 この話を同僚や友人や先輩などにする度に、決まって「 . . . 」と数秒の沈黙が流れる。信じられないのだ。その後大爆笑する人や、「ひぇ~~っっ」と絶叫を上げる人もいるが、呆れられて当然なほど、北米の片田舎と言えど、こういうサバイバリストの真似事生活をするおバカはまずいないのだ。 それにしても、妹E は、こういう困った男性としか付き合わない。 人里離れジープでやっと通れるか通れないかの伐採道路を何時間も山奥に突っ込んだ所に、彼は二十代前半に土地を買い、小川のほとりにほったて小屋を少しづつ立てていた。 そこで妹が毎年数ヶ月暮らし始めた。 冬は一応彼女が生まれ育ったこの田舎町でバイトをしながら過ごすのだが、春になると二人してほったて小屋にこもり、実にワイルドな生活をしていた。彼女が小川から水を汲み、森林をさまよい木の実やしいたけなどを集め、彼は気がむくと(もちろん免許無しで)狩猟をするのだ。 彼は、妹や家族などの写真は一切持ち歩いていなかったが、「小屋は、どう?作業進んでる?」と聞かれよう物なら顔中ニッコニコになり、毎回 50枚ほどの経過写真(?)を革ジャンのポケットからドカッと取り出して見せてくれた。 その中でアタクシが一番笑った写真は、彼等の「風呂場」。 目が点々になった後、大笑いしてしまった。 かんらかんら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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