テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:旅先
北米の西海岸付近に、世にも不気味な喫茶店がある。
看板もなく、サインもなく、宣伝も一切しない。古い住宅街の、見た所ただの古く大きな暗い感じの家で、初めて訪れる客は必ず戸惑う。 玄関までのひっそり暗い階段をのぼりながら、静かな音楽が何処からか聞こえる。 「本当にここでいいのだろうか?」 どぎまぎしながらドアを開けると、やっぱり中はステキな喫茶店に改造してある。 その古い家の居間やダイニングに小さなテーブルが所々置かれていて、居心地のよさそうな椅子やビロードのカウチが誘う様にそれらを囲んでいる。 暗めの照明の応接間の隅で、ライブのストリング・トリオが演奏していたり、ピアニストがピアノを奏でていたりする。 素敵ではないか。 この喫茶店のどこが不気味なのか。 町の「通」の間で、コーヒーやケーキが最高に美味しいと評判のこの喫茶店「リムスキー・コルサコーヒー・ハウス」。 そのメニューに書かれているキャッチフレーズは「気軽に危険な雰囲気」。 本当に "casually threatening" なので笑える。 まず、テーブルは一つ一つ作曲家の名前がついていて、そのうち三つはゆーっくりと動く。 話に夢中になっていると、気がつけば隣の人のケーキが回ってきてしまっている「回るテーブル」。 壁にゆっくりとめり込んで行く「壁に半分消えるテーブル」。 上下に浮かんだり沈んだりする「高さが変わるテーブル」。 どれがどのテーブルかは、まぁ、こっそり教えてさしあげてもいいけれど... ウェートレスは教えてくれないし、テーブルに表示されている訳でもないし、知らないでそのテーブルにつくときっと楽しいだろう。 今度、一時間か二時間に一度ほど、三秒間ガタガタ震える「ラクマニノフ・テーブル」を提案しているらしい。楽しみ。 他にもある。 ちょっと不気味な雰囲気の壁紙は、よく見ると男性の姿が隠れている。 隅に立てかけてあるホウキには、手足がついている。あの映画の様に。 コインを入れると普通はガムボールが出る小さな販売機(gumball machine)は、ここでは詩が出て来る。 でも。 まだある。 とっておきの、知らない人は叫び声をあげておどろく「それ」がこの喫茶店にある。 ふっふっふ。 続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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