テーマ:海外生活(7772)
カテゴリ:旅先
[画像・古く豪華なラウンジに響く音楽は...?] 「本の買い過ぎ」とは根本的に不可能だと思う。 だが数日前、お気に入りの本屋でまた二人で抱えきれないほど買ってしまい、店員が心配して「ホテルはどちらですか?」と聞いてくれた。 あ、大丈夫、すぐ近くの■■■ホテルです、とムーミンが笑顔で答える。 「お~~、ステキなホテルにお泊まりですね!ボクらのクインテットが時々あそこのラウンジで演奏させてもらってるんです!あぁ、残念だなぁ、聞いてもらえなくて!」 クインテット!何をお弾きになるのかしら?昨夜はたしかピアノのソロイストだったけれど、いい雰囲気でしたよ♪ 「■■■ホテル」の「ピアノ」と聞いてこのインテリ風の店員の表情が微妙に変わった。 「あそこのピアノねぇ...」 写真のラウンジの片隅にグランド・ピアノが置いてある。 そして深夜、客がみな寝静まったころ、ラウンジからピアノを静かに弾く音が聞こえてくるそうだ。 深夜と言っても由緒あるホテルなのでフロントに従業員が配置されているし、ケータリングのスタッフも動き回っている。 フロントは写真の右端からはみ出る所で、ピアノは反対の左端からはみ出る位置にあるため、フロントから直接ピアノには目が届かない。 だが二階のメッザニンのギャラリーから乗り出せば十分に見える。 この話をしてくれた店員のガールフレンドが一時アルバイトで深夜ケータリング・スタッフをしていた時、「出る」事は皆承知で、ただし客には一切その事にふれない様にと固く注意されていたそうだ。 「大学のラボでのパートよりこの深夜の仕事の方が収入がいい」と睨んでいた理知的なガールフレンドは、「出る」なんて言われても鼻で笑っていた。 ケータリングの深夜の仕事は主に客がドアにかける「朝食注文票」を集める事や、稀に夜中のルームサービスで頼まれた食事を運ぶなどらしい。ラウンジとは関係ない所を駆け回る仕事だそうだ。 だがある夜、早朝からの会議・朝食会の用意が出来ておらず、これを頼まれた。二階メッザニン・ギャラリーの奥にその会議室があり、食器などを運んでいると急に ♪ぽろろんろんぽろろろろん♪ すぐ下のラウンジからベートーベンの曲が聞こえてきたそうだ。ガールフレンドはクインテットのメンバーでバイオリンとピアノを弾いていて、知っている曲だったので印象的だったそうだ。 フロントのヤツがふざけて弾いているんだろう。 ...にしては上手過ぎる。 ...そういえばアイツは楽器が弾けない。 ...いや、それどころかフロントがふざけて深夜にうるさく音をたてる訳がない。 と思って食器のトレイを持ったそのまま手すりに駆け寄り覗いてみたとたん音が止んだそうだ。 鍵盤のふたが閉まっている。 同時に 「P!おまえだろ!冗談じゃないぞ、こんな時間に!」 とフロントの青年が右下から顔を出し、彼女がピアノのそばどころか「上」にいる事に唖然としている。 上と下で「ロミオとジュリエット」風にまじまじとみつめあう二人の従業員。 もちろん他には誰もいない。 ありがちな話だが、誠実そうな青年が生々しく語ってくれたのでちょっと背筋が寒くなった。 - - - こわいお話が好きな方はこちらもどうぞ。 洋館の幽霊 洋館の幽霊・目撃者編 K嬢・職場の恐怖 - - - どうやらこのビーチハウスのお隣のワイアレス・ネットを失敬している様子。ベランダでないと繋がらない。それも時々途切れる。 潮風が冷た~~いっ!長袖・ジャケット・ジーンズで熱い紅茶。手袋が欲しいほど手がかじかむ。 ひぃ~~。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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