テーマ:妊婦さん集まれ~!!(4771)
カテゴリ:メイとオイと
恐怖の「Lちゃんの子守り」をする事になり、聞きつけてきた同僚や友人達から同情の眼差しをひしひしと感じる様になってしまった。
「大変だねー、あの子、エキゾシストみたいに首が180度まわりそうだし。」 「そうそう、可愛いんだけどね、スゴイ迫力で泣くもんね。血管破裂しそうな。」 「脳溢血しそうな。」 「あぁ、言えてる、そうそうそう。」 「それを言うなら鼓膜破裂でしょ。」 「ぎゃはははははっ!」 思いがけない予行演習があった晩の数日前からムーミンは心配でそわそわしていた。 だがちょうどその頃、アタクシは仕事である難題に直面しており、珍しく夜も眠れなくなる程悩んでいた。正確に言うと、「仕事」の問題ではなく、人があまりにも理不尽な扱いを受けているのに力になれず、ハラワタが煮えくり返る思いで毎晩歯ぎしりをしていたのだ。 「予行演習」の晩も、その次の晩も殆ど眠れず、頭がクラクラするのに歯を食いしばって仕事に通っていた。 その翌晩、朝の二時。 アタクシはまた眠れずカサカサに乾いた目で天井を睨み、あーでもないこーでもないとまだ策を練ろうとしていた。 その時、また電話が鳴った。 まずい。疲れてへとへとだ。でもむっくり起き出して二人顔を見合わせ、車へ向かう。 ムーミン:大丈夫?また眠れてないみたいだけど、心配だよ。僕一人で行く、って言ってあげたいけど、Lちゃんは僕一人じゃ無理だからごめんね。でも今晩できるだけタリアが眠れる様にがんばるからね。大丈夫? 随分心配をかけてしまっている様だ。ごめんね。 アタクシ:あはは、大丈夫!ちょっとクラクラするけど、Lちゃんきっといい子にしててくれるし大丈夫よ。きっと。今度こそ生まれるのかなぁ。ワクワクだね ...なんて言ってるうちに到着。 今度は雰囲気が随分切羽詰まっている。 二人共もう玄関で靴を履いてコートを着て待っている。 Lちゃんがしかめっ面でうろうろしている。 J:ぐぅぅぅ... D:じゃ、頼んだよ!今度こそ本番らしい。え~と、Lが起きちゃったんだけど、ジュースでも飲ませば、あ、ジュースは冷蔵庫ね、半分水で薄めたらいいかも、あ、あ、ついでだからお便所行かせてやって、お気に入りのカップは... 黙れ、D。 アタクシ:いいからいいから、頑張って来てね!Good luck ムーミン:J、大丈夫だよ!今度こそ安産安産!頑張れ! D:有り難う有り難う!行ってくるね。電話番号は、あぁ、お前達知ってるか。わはは。Lの朝ご飯はキッチンの右の棚のリンゴ入りの... 黙れ、D。 ごそごそと車に乗り込むD。 呻きながら後席のドアを開け、そのまま乗ろうとしないJ。 アタクシ:どうしたの?大丈夫?痛いの? ぐずりだすLちゃん。必死にあやそうとしてるムーミン。 J:一緒に来てもらう。 え?今、何て仰いました...? J:間に合わない。車で生むかもしれない。タリア、一緒に来て間に合わなかったら分娩して! えっくすきゅーずみー? あいべっぐよあぱーどん?? ええええぇぇぇ~~~~っ??? 最初からクラクラしている頭がさらにクラクラクラッ。 ...だがもっともっと慌てている人間がいた。 陣痛に苦しんでいる妊婦よりも。 今にも生まれる赤ちゃんの事を思いながら運転席で汗をかいている父親よりも。 急に「車で分娩してちょうだい」とメチャクチャな事を言われたアタクシよりも。 ムーミン:ちょっ... まっ... えっ... 「おまけ」のムーミンが急に「恐怖のLちゃん」のお守役に昇進、慌てふためいて口をパクパクしている。 ムーミン:え、あ、あの、おトイレとか、えっと、タリアに任せっぱなしで全然聞いてないんだけど、お、お、お、お尻とか、僕が拭くのかな...? タ、タ、タリア、行かないでくれ、だ、だ、だ、だめ、だめだよ、だめだめだめだめ、あ、ど、どうしようどうしようどうしよう... J:ぎゃははははは、笑わせないでよ、痛いんだから、がはははははっ、大丈夫大丈夫、ムーミン任せたよっ!じゃあねっ!タリアッ!ほら、はやくっ! 車の窓からまだパクパクしているムーミンに手を振る。 アタクシ達、どうなっちゃうんだろう。 - - - 「間に合わなかったら分娩して!」 実際言われた言葉は 「if we don't make it, you're gonna have to catch the baby. in the car.」 あのぉ、ソフトボールをキャッチする要領で? ...J、貴女は大砲? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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