テーマ:妊婦さん集まれ~!!(4751)
カテゴリ:不思議な友
注:お産の話です。デリケートな方はご遠慮くださいませ。
- - - 汗だくの臨月妊婦がカウンターにしがみつき、「ぐぅぅぅぅ...」と歯を食いしばって陣痛をやりすごしているのに、受付のベテラン看護士は顔色一つ変えない。 それどころか、見向きもせず、せっせと書類に何か記入しながら 「あ~、ちょぉぉっと待って下さいねぇ、え~~と、ここはこうで、ちょぉぉっと待って...」 ...と、ぶつぶつ独り言を言っている。 さすがに国内でも珍しい産婦人科専門の救急受付である。 世界中どこでも、陣痛で担ぎ込まれる妊婦は早速特別扱いだが、ここでは「普通」なのだ。 よく見ると待合室のソファには陣痛で呻いている女性が他に二人。奥からは悲鳴が聞こえる。 でも気が気ではないアタクシ。 「あの、間に合わないかもしれないって勢いでやっと駆けつけたんですけど、間隔はもう三分ほどなんです、なるべくはやく診てやっていただけませんか?」 Jの歯ぎしりが聞こえる。ぎりりっ。 良い子は看護婦さんに噛み付いてはイケマセン。 「あ~、ちょぉぉっと待って下さいねぇ、え~~、三分ですか、頑張ってますねぇ... これでよしっと。じゃ、お名前は? 主治医はどなた? え~~、あなたは?付き添い?」 「十分」なんて言っていたら「じゃあ~、あちらの椅子に座ってもぉ~~ちょっと待っててね♪」になってしまったのであろう。 だが。最初は気が狂いそうになるほどおっとりしていると思った受け付けの看護士は、夜が更けるにつれ観察していると、それは実は興奮して駆け込む妊婦(とその付き添い)を落ち着かせるためにわざと「どっしり」と構えているのだ、という事が伺えた。 と、思う。 やがて広い陣痛室に通された。カーテンでいくつもに仕切られていて、ガーニー(台車つき担架)が仕切り内に用意されている。ここで「いよいよ」の時期が訪れて分娩室に通されるまで集団陣痛我慢大会が行われているのだ。 Dはまだかな~。 このホスピタル・ガウンに着替えて下さい、と渡されたので、Jが着替えるのを手伝った。 コチラの病院着は治療しやすい様に背中で二、三ヶ所簡単に結ぶ形の物が多い。医療従事者には都合がいいかもしれないが、患者にとってはとんでもなく恥ずかしい衣類である。これを着て歩くとピラピラとお尻が覗いてしまう。こんな感じ なので、日本の様に入院する時にパジャマを持参などしないが、ローブ(とスリッパ)は持って行くと重宝する。 ガーニーに最初は横になったJは、痛みの合間にまた四つん這いになってしまった。 えっ... きゃー。姐さん、だからそのガウンでそんなかっこしたら... 慌ててカーテンをひったくる様に閉める。ひぇ~。 そして、Jの腰をひたすら揉みほぐしながら、見えないふり、見えません見えません、と頭の中で唱えながら目を瞑って本当に見えない所までカニの様に移動。 だはは。 後々になって「あぁ、あの頃はあんなカワイラシイ事に戸惑っていたんだなぁ」などと、遠く懐かしく思うのだった。 - - - さて、暴君J。 これからが お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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