テーマ:妊婦さん集まれ~!!(4770)
カテゴリ:不思議な友
注:お産の話です。デリケートな方はご遠慮くださいませ。
- - - ぎりぎりぎりぎりぎり。 分娩台の上のJの身体からずっと軋み音がしている。 どうやら「back labour」と言って、腹ではなく腰に負担がかかる姿勢で生まれて来るらしい。 ぎりぎりぎり。 Dもアタクシもへとへとになるまで色々な所を揉んだりさすったりする最中この軋み音が伝わってくる。 痛そう。 それにしても、誰も来ない。その時、急に、 J:生まれるっ!もういきむいきむいきむいきむっっっ!! えぇ? アタクシ:ちょ、だ、だめだめ、まだだめ!誰か呼んで来るから!がまんしてね!いい?がまん! 廊下に走り出て看護士を引っ張って来る。 看護士はJの子宮口を調べると「はっ」と顔色を変えてまた飛び出して行った。大声で誰かを呼んでいる。 看護士が二人、そして全身薄黄色の手術着で身をくるんだ若者。透明な溶接マスクの様な、大型手術マスクをしていたため、最初は女性なのか男性なのか判らなかった。きびきびとした動作が眩しい。 どうやらいよいよ生まれるらしい。あぁ。感動。うるうるうる。 ...なんて気を抜きかけていたアタクシが甘かった。 タリアッ!バッグ! あ、はい。 ぎぃぃぃぃぃ、中にっ!かがみっ!! え? 本当に、鏡が、入ってるわ。 それも、特大サイズ。重い。なるほど。 で? まさか...!? こっちに立って!あたしが見える様に!!はやく! うそ~。 胎児が出産する、まさにその瞬間を見たい... らしい。 ひぇ~。 これは単純な様で実はとてつもなく困難な事である。 Jが見たい場面を反射する位置に鏡を持つとなると、医師と、生まれ来る赤ちゃんの間に入り込まなければならないのだ。 はっきり言って、おもいっきり邪魔である。 タリア!何してんの!見えない! あ、はい。先生、邪魔ですか?ここ? 邪魔です!どいてください! タリア!どくんじゃないよ!どいたら許さないからね!見えない!角度! この時、胎児の心音を探知する分娩監視装置の不気味なアラーム音が鳴った。 看護士が弾かれた様に飛び出して行ったと思ったら、わらわらわらわらと医療従事者が何人も何人も分娩室に入って来た。 同時に大きな機械が二つ持ち込まれて来る。 何? どうしたんだろう? 大丈夫? タリア!何やってんの!見えない!! そんな場合じゃないみたいだけどなぁ... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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