テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:宝物
数人「マイ・カップ」を持ち込んでいる同僚がいる。それらは他のカップといっしょに綺麗に洗われ棚に並べられているのに比べ、なぜかアタクシのカップだけ洗われた後、毎朝きちんとアタクシのオフィスにもどってきている。
なぜ? 最初からそうだ。 「Rちゃん!それ!それあたしのカップ使ってる!」 「え?あぁ、ごめん!」 などという会話を時々耳にする。 『○○○のカップ』 と大文字で書いてあるのに違う人が平気な顔で使ってる事もある。 「あたしの紫の花柄のカップが行方不明です!見かけた人は至急教えて!」 というメールがまわってくる事もある。 アタクシ達、いつ仕事してんだ。 だがアタクシの可愛いカップはいつもいつもアタクシの手元にある。朝到着するとちゃんと鉄瓶の隣で待っている。 友人が作ってくれたカップだ。お月見ウサギのイラストが描いてある。ちょっとアタクシには可愛過ぎる気がするが飲み干すと底にお月様が輝いているので嬉しい。 休暇の間オフィスのお留守番をしててね。 こんな事書くんだったら写真撮ってくるんだった。 それだけでなく、時々お茶が入ったままの鉄瓶をおいて帰宅してしまう事があり、毎回その鉄瓶まで綺麗になってオフィスに戻って来ている。 用務員のおじさん、有り難うございます。 実は稀にだが残業中に出会うのですっかり顔見知りになってしまっている。 初めて会った時、いつもお世話になっているお礼を言えて嬉しかった。だって自分だけ二倍以上の手間をかけている気がしていたから。オフィスもごちゃごちゃのめちゃめちゃでお掃除しにくいだろうし。 おじさんはガリガリに痩せたとっても優しそうな方。 「いいんですよ~可愛いオフィスで僕も嬉しいから。それ手作りのカップでしょ。どういう方のオフィスなんだろなぁ~って思ってたの。」 え。ごめんなさい、幻滅でしょ。とは言えなかったがきっと苦笑いを浮かべていただろうアタクシ。そうです、いつも書類がばさばさ山になってて資料も数冊開きっぱなしで出張先で溜め込んだレシートがハラハラ散らかっててエイズ菌のぬいぐるみなんかをマスコットに持ち込んじゃう様な女です。 ある日、当時のマイカップが机に置いてあった。真っ二つになって。おみごと! まぁ、こんな事もあるさな、今度はあのお月見カップを持って来よう♪ とその破片を持ち上げたら下にメモがあった。 優しそうな用務員のおじさんは、きっと字を書くのがとってもとってもとってもとっても苦手なのだろう。しばらく睨めっこしてやっと読めた。お詫びのメモだった。苦労しながら一生懸命書いてくれたらしい。 割れちゃった物はしょうがないのに。割れ物をオフィスに持ち込むアタクシこそ悪いのに。なんだかとっても申し訳ない気がした。 冬休み明けにまた会った時、おじさんはとっても嬉しそうだった。 「はろー!カードありがとう!嬉しかったよ!」 休暇に入る前に、お礼のカード(と、ちょっとチップ)を鉄瓶に立てかけておいたのが無事届いたらしい。 「色んなビルの掃除をしてるけどね、目が合っても僕を無視する人が殆どだよ。カードなんてもらった事ないし。初めて!ありがとう!」 ...なんだか、またちょっと悲しくなった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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