カテゴリ:秘密の傷跡
y abre para mi todas las puertas de la vida わんわん号泣してしゃくり上げるとか、鼻水じゅるじゅるで膝を抱えて吼えてしまうとか、途中で感情が高まってしまい泣き崩れてしまうとか、怖れていた事は起こらなかった。 「初めまして!」と挨拶やら世間話やらはにこにこと出来たのだが、いざ本題になると固まってしまいカタカタと震えて何も言えなくなってしまった。 やっぱりね。 と思っていたら案の定、上手な質問で荒筋を引き出してくれた。 幼なじみで、こうなってこうなって、こうなりました。 「今は?」 今は... こんな感じで、こういう生活をしています。 ここで初セッションは終了だったと思う。 いざ話し始めたらただ冷静に最後まで状況報告。カウンセラーが時にはお腹を抱えて笑ってしまうほど、少し面白可笑しく語れた。これも一種の防衛機構なのだろうけど。ひょうきんな亡き彼の話なので自然と笑い話になってしまう気がする。こんな状況でも。 異常な状況での異常に普通な会話に面食らった様な、安心でもなく落胆でもなく、なんとも不思議な気持ちになった。こんなんでいいのだろうか。 カウンセラーのオフィスを出てエレベーターの中、考えた。 1。言えたんだ。たいした事なかった。始まったばかりだけど。 2。でも筋立てというか、プロット構想を言えただけで心は軽くなっていない。 むしろ心境や情緒については何も話せていない。 3。何か為になっただろうか。まぁ次回も行ってみよう。 これなら大丈夫かもしれない。血がしたたる魂の皮に自ら爪を立てて剥ぎ取り、心の底から悲嘆を絞り出す様な、本や映画から想像した様な作業ではなさそうだ。 またあの奈落の底から血みどろになって這い出す事はしなくてもいいらしい。 ...のだろうか。 この命の扉、開け放てるのだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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