テーマ:キャンプを楽しむ方法(4855)
カテゴリ:不思議な友
釣った魚と岸で見つけた植物を漁りながらカヌー・キャンプをしようぜ、とろくに食物も持たずに男三人旅にで出かけた時の話を友人Dがしてくれた。
「北米でお産」でお馴染みD氏。弁護士二人、元文部大臣一人、計三人のオジサン旅。 D氏は二十年ほどカヌー暦があり、自信満々だった。 三人で二週間の予定で出かける男のロマンの旅。 だが、ちょっと心配でもあった。 この元大臣と仕事をした事はあるものの、ひょろひょろの典型的ガリ勉・インドア派に見える彼がカヌー・キャンプでお荷物になるんじゃないか。 ひょろひょろのっぽのガリ勉タイプだなんて、人の事言える立場ですか、Dおじさん? Dおじさんは自慢の釣りの腕に物を言わせ、毎日毎日大きなマスを釣り上げた。それを枝に刺して焚き火で炙ったり、捌いてバター焼きにしたり、山草を添え、木の実を添え、美味しく楽しく過ごしたらしい。 七日目まではそれだけで面白く、美しい湖畔や穏やかな川を毎日ゆっくり探検した。心配だった元大臣も手にマメを作りながら朗らかに漕いでいる。「いや~、久しぶりだな~」と嬉しそう。 だが、いくらなんでも一週間もたつとそろそろお風呂に入りたい、魚以外の物を食べたい、こっそり持って来たバーボンも底をついて来た、と疲れて来る。 でも男同士「もう引き返そう」とはなかなか言い出せない物らしい。折角のワイルドな経験に終止符を打つのは惜しい。 もう一日、もう一日、と我慢大会の様に延ばしたが、ついに十日目、明日帰ろうと言う事になった。 いざ帰るとなると疲れが出て、最終晩のキャンプを設営する場所を探すのも一苦労。そんな時、トポグラフィー・マップ(?地勢図)を眺めていた元大臣が すっ とある場所を指差し、「この茂みの向こうが沼地になってるみたいだね。ブルーベリーかなんかがあるはずだ。ちょっと君たち、コップに三杯ほど摘んで来てくれないか?」と言うのだそう。 ブルーベリーだぁ? 騙されたと思って行ってみると本当にあったのでびっくり。 一通り食べながら摘んで帰ってみると、なんと元大臣が不思議な事をしている。 焚き火を起こし、十日間バックパックの底で眠っていたキャンプ・オーブンを引きずり出し、同じく十日間内緒で持っていたパイの生地を、空になったワイン瓶でのばしている。 「やぁ、あったみたいだね!口のまわりが真っ青だよ!」と笑っている。 で、キャンプ十日目の夜、元大臣が焼いたブルーベリー・パイを食べながら、最後の晩を名残惜しんだという。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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