テーマ:海外生活(7773)
カテゴリ:料理
[画像・enormous prawns in saffron coconut curry・vij's cookbook] 和製カレーはどうやら邪道であるらしい、と薄々気付いたのは大学時代。 毎夏家族と一緒に行く高原キャンプに、大学の友人が数名一緒に来てくれた。 この家族とのキャンプの献立は子供の頃から毎年そっくりそのまま同じ。最初の晩は必ず母の和製カレー。 友人には予め断っておいた。「和製カレーって、板状のルーで作ってあって、こってりしてて、バズマティやタイ・ライスみたいにあっさりポロポロのご飯じゃなくてしっとり日本米で、子供の大好物だったりするしアタクシも大好きなんだけど、もしかしたら本当は『カレー』と呼べないかもしれない。」 案の定、和製カレーをお皿に盛られた皆は不思議そうな顔をしていたが、親友のPがいいことを言った。 「これって、美味しいよ。『これはカレーだ』と思わなければいいんだよ。」 なるほど。 ムーミンが持っている数冊のインド料理の本では、どのレシピもまずカレー粉の調合から始まる。スパイスを小さなフライパンで煎り、香り高くなったら専用のスパイス・グラインダーで挽く。その時ナツメグを丸ごところころ入れている時もあるし、カルダモムの皮を一生懸命剥いている時もある。 アタクシが一番衝撃を受けたのはエチオピアン料理のカレー。大学時代に初めて食べた時は数日続けて夢に出て来たほど美味しかった。 連れて行ってくれたのはどっきり美男の先輩だった。ご両親お二人とも大学教授なだけあり博学で知慮深く、おまけにトライアセロンを飛び入りでこなしてしまう程のスポーツマンで、実はこの場で交際を申し込まれてしまったのだがアタクシはそれよりも料理に夢中だった。 ごめんね~ さすがに食いしん坊のアタクシを釣るには胃袋から、とたくらんだのだろう。エライ。 インジェラという布の様な薄いパンを大きなお皿一枚に一杯に広げ、シチューに似たこてこてのとろとろに煮込んだカレーをちょっとづつその上に並べる。ヤギのシチュー、レンティルのシチュー、スパイスで真っ赤な鶏肉のカレー。そしてインジェラをちょっぴりづつちぎり取り、それで具を摘んで頂く。初めてだと右手ベトベトで顔中シチューだらけになってしまうのだが、それがまた楽しかった。 あぁ。書いてるだけで食べたくなってしまう。 二番目に好きなのがインド北部、ムガール帝国風のクリームたっぷりの優しいカレー。 三番目はやっぱりタイのグリーン・カレー。 でも何よりも嬉しいのはムーミンが作ってくれる真心のこもった複雑なカレー。 なぜカレーを作るのにお鍋やフライパンが七つも八つも必要なのだろう。 ムーミンが料理するとなぜ台所中が竜巻に遭った様になるのだろう。 毎回なんとなく笑ってしまう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[料理] カテゴリの最新記事
|
|