テーマ:暮らしを楽しむ(388166)
カテゴリ:宝物
思い切って lay away(商品留め置き?)をしてもらったものの、それきり何ヶ月もそのままだった。
畏れ多くて、もったいなくて、やはり潜在意識的なところで躊躇していたのだと思う。 毎月百ドル(約一万円)ほど積み立てていけば一年以内に買い取れる値段だったのに、殆ど支払いをしないまま、いつのまにか一年半が経ち、二年になろうとしていた。まったく迷惑な客だ。 その期間、学生新聞の編集をしながらなんとか卒論を書き上げ、文化部の神童と謳われていた憧れの先輩と途方もなく短く失笑してしまうほど途方に暮れる恋愛を終え、さらにしばらくして ムーミンと出会っていた。 そんなある日、アタクシ達のだだっ広い屋根裏部屋で、B女が腕を振るってくれた料理を囲みいつもの様に七人か八人で騒いでいたら、あの万年筆店から電話がかかってきた。 いえねぇ~、ほんとにごめんなさいね、ごめんごめん、でも「アガサ・クリスティー」がどうしても欲しくて街中探していらっしゃるお客様が今ここにいらしてね、どこを探してもタリアさんのこのペンが最後なんですって、ほら、限定版だし発売されてから数年経ってるし、実は国中のペン・ショップあたってみたんですって、でね、ほんとにほんとに申し訳ないんですけど、奥の棚にこのペンの大きな箱がおいてあるのを「あれは?」って聞かれちゃって、どうしても電話してみてくれっておっしゃるもんですから、もしかしてもしかして譲って下さらないかっておっしゃるんですよ、今までお支払いになった金額を倍にして返すからって。 え、えぇ~~~っ!? ここしばらくお支払いしてなくて申し訳ありません!でも、やっぱり欲しいので、これからもこのまま取っておいていただけないでしょうか? ずっとずっと躊躇していたのに、譲ってくれと言われとっさに決心が固まったゲンキンさ。自分でもいやになる。 さらに、電話を切りダイニングに戻ると「なんだったの?」とムーミンに聞かれ、説明するはめになってしまった。 いーっひっひっひっひ と知っていて笑い転げる友人達。それらを見回すムーミンの顔。 い、い、い、今、いくらだって!?? アタクシ、欲のなさそうな、本だけに稼ぎをつぎ込む「変わった女」だと思われていたらしい。 だって宝石も時計も興味ないっていうのに、突拍子もなくいくらするペンだって!???と目を白黒していた。そんなにするペンが存在するなんて知らなかった!!嘘だろ~、ばかみたい~ と笑い出してしまうしまつ。 そうです、アタクシ矛盾だらけのアマノジャクでございます。 でもそんなに笑わなくたっていいじゃない。ねぇ? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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