カテゴリ:動物
[画像・白椿に雪] 洋館に越して来た年の冬、珍しく大雪が降った。 静かに静かに雪が降り積もる深夜、またまた珍しく「はっ!」と目覚めた。 揺すられても叩かれてもつねられても鼻をつままれても、頭ががんがん割れそうな防犯アラームが鳴っても、何が何でも起きないアタクシが真っ暗の中目覚め、自分でも は? とぱちくりした。その時近くで「キキーーーーっ...」とブレーキ音が消えて行くのが聞こえた。 もしかして、交通事故の音で目が覚めたのかも! そのまま暗闇の中で耳をすましても聞こえるのはムーミンの寝息だけ。 こんこんと雪が降り続け、雪明かりで室内がおぼろげに見える。 し~~~~~~~ん。 気のせいだったのだろうか。 いや、このアタクシが起きたのだから何かあるんじゃないか。 でも目ざといムーミンはまだ熟睡している。 し~~~~~~~ん。 すぐ外で誰かが撥ねられていたらどうしよう。 いや、まさか。 その時、かすかに、何か聞こえた 気がした。 きゅ~~~ん... んん? 何の音? 窓の外だ。 きゅ、きゅ~~~ん... 子犬...? それとも、幻覚? いや、犬が車に撥ねられたのだろうか。 もしかして道路で苦しんでるのかもしれない。 耳をすましても、もう何も聞こえない。窓から覗いてみても銀世界が輝いているだけ。 し~~~~~~~ん。 やっぱり気のせい? いや、気のせいでもいい。気のせいでも無駄に見に出た方が、気のせいだと思い込んで助けてあげなかったよりもいいだろう。 急いでネグリジェにコートを羽織り、アタクシが履くと膝上までくるムーミンのスノーブーツに脚を突っ込み、バスタオルを一枚ひっ掴んでそっと外に出た。 暗闇に慣れたせいか月光が雪にきらきら反射して眩しいほど。 歩道や道路を見渡しても何もいない。血痕もない。 大きな犬だったらどうしよう。バスタオルで包んだぐらいじゃやっぱり怯えて噛み付かれるかも。 車の下や植え込みのしげみの奥を恐る恐る覗きながら、大怪我してたらどうしよう、でも雪で冷えてるぶん出血がおさえられて運がよかったかも、などと朝の三時にしては冷静に行動している自分に呆れたりした。 椿の下を覗いて、シャクナゲの下、ツツジの下。ツツジとシャクナゲ、こんなにあったっけ。 寒い。膝の上からコートの裾まで、丸出しの皮膚が凍り付く様だ。 その時、聞こえた。 きゅ、きゅきゅ~~~ん。きゅ? どこ? 出ておいで。 ここは寒いよ。 怪我してるの? 大丈夫、出ておいで。 きゅ、きゅ~~~ん... きゅっ? きゅっ、きゅっ? んんん??? 何か変だ、と頭上を見上げると、月明かりに照らされた白樺の枝で、アライグマが二匹笑っていた。 ...あっそ。 デートのお邪魔をして申し訳ありませんでした。 うぅ~~さぶっっ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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