カテゴリ:洋館の毎日
寒い冬の夜、残業組全員で息抜きに晩ご飯を食べに行った。 皆でレストランから出ると、初雪が降っていた。 その日、アタクシはそのまま帰れる組。うしし。 友人Dとムーミンは翌日の仲裁裁判の打ち合わせが深夜まであり、居残り組。 ばいば~~い♪ と笑顔で帰るアタクシ。当時、付き合い始めたばかりだった。若かったなぁ。 次の朝、初雪がそのまま随分積もっていた。ブーツを履いてえっちらおっちら出勤したのを覚えている。あまりもの雪にその日仕事を 相談したかった同僚が出勤せず、オフィスで頭を抱えて「うぅうぅぅぅぅ...」と要領悪く悩んでいると、廊下が急に騒がしくなった。そっとドアを閉め、また肘をついて書類と睨めっこしていた。 すると珍しく秘書Pの大声が聞こえた。 「おーまいがっ!ほんとに?」そしてPが真っ青な顔で駆け込んで来た。 「ムーミンの車が盗まれたんだって!」 え? 「今Lが警察に連絡してるみたい!」 Lとは当時のムーミンの秘書。 ムーミンはその数週間前、人生初めての新車を購入したばかりで毎日るんるんだった。 あれを盗まれちゃったら可哀想だな。 それよりも、今日はあの仲裁裁判中なのに、こんな事で気が散っちゃって大丈夫かな... いやいや、アイツだから大丈夫だろう、などとちょっぴり心配しながらPの話を聞いていた。 それによると今朝、裁判所から電話がかかってきて、ムーミンがLに頼み事をしたらしい。 昨夜打ち合わせが終わった頃、積雪が既にすごかったので、新車を駐車場に停めたままジープのDに送ってもらったらしい。 そして今朝一番で車をとりに来たら駐車した場所になかったので、違法駐車のレッカー移動(?)されちゃったみたいだからどこに引っ張って行ったのか駐車タワーのセキュリティー係に聞いといて、と頼んだらしい。 だがLが電話してみると、昨夜の雪で置き去りの車が多かったためレッカー移動はしませんでした、との事。 え?じゃあ...? 「車がない場合は盗まれた疑いがありますので確認に自転車パトロールを出しますがどの階のどの辺りに駐車なさいましたか?」と聞かれて、Lは ムーミンに報告してしまった! だめでしょー 裁判中の人にそんなどぎまぎする電話しちゃ。 P曰く、「盗まれたら盗まれたで裁判中手がはなせないんだから!ムーミン可哀想ぉ~~~」 いや、大丈夫でしょ。アイツ仕事の事になると人間じゃないし。 でも可哀想。 午後になり(タクシーで)オフィスに帰って来たムーミンはちょっとしょんぼりしていた。 廊下でLが「警察に電話して盗難届出しときましたから!」と報告しているのが聞こえた。 しょんぼり。 可哀想。 諦めきれないので駐車場を覗いて来る、と言うのでアタクシもちょっと一緒にお散歩に行く事にした。 ら。 やっぱりなかった。 え?紛らわしい書き方だ? 「確かにここに停めたんだけどな~...」 「 ... 」 「...ん?」 え? 「ちょっと待って。」 と言いながら駐車タワーの一階上のちょうど同じ場所に向かった。 で。 じゃーん。 あった。 警察届までだしたのに迷惑なヤツだ。 それを聞いて大喜び?したDが次の日裁判所でも身振り手振りでいいふらしたので、時折あちこちで爆笑が沸いたらしい。 それから何年経っても、出かけ先などでムーミンがふと「あれ?どこに停めたんだっけ?」ときょろきょろすると一同顔を見合わせて大爆笑してしまう。 - - - もっと酷い?失敗談があるんだけどな。書いたら可哀相かもしれない。 でも書いちゃうんだろうな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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