テーマ:こわーいお話(348)
カテゴリ:旅先
「隣の部屋がうるさい」と申し出たところ、即座豪華な特等フロアに移されたケリーはご機嫌だった。
次の日フロントで「新しいお部屋、いかがですか?」と聞かれ、大満足だと伝えたらしい。 だが、「廊下が随分煙いけど、禁煙フロアじゃないのね」と軽く付け足したのがいけなかったらしい。 フロントの女性が三人とも肩をすくめて真っ青になった。そして明らかに怯えた顔を見合わせてしまった。 「すぐピンと来ちゃってさ。だって他の三人の幽霊の事もあったし」とケリーが溜め息をついた。 え。 煙って、あの廊下の煙 ? 「そうそう。」 エ、エレベーター降りて、み、右に行ったとこ...? 「そうそうそう。タバコじゃないんだよね。ちょっとさ、インセンスっぽくてさ」 げ。 まさか、ほんのりフローラルなパイプ・タバコみたいな...? 「あ~、そうそう。ちょうどそんな。」 年がら年中、他の客もそう言うらしい。 え~ん... こ、こわいよ... そのパイプ・タバコの煙は、ホテルの謎の一つなのだそう。 「数日置きにあのフロアの客から苦情が出るんだって。廊下が凄く煙いからどうにかしろって。」 エレベーターはカードロックだし、その一部屋しか客が入っておらず、他の人が廊下でタバコを吸っているはずがないのに、という夜もあるらしい。 そしてスタッフが駆けつけると何の匂いもしない。おまけに必ず夜だけ。 「それが何度も何度も何度もなんですよ」ってスタッフが声をひそめて言うのよ、とケリーの暗い声。 そこでつい、例の三人の 「ところでさ。今晩付き合ってくれない?」 い、いや~な予感。 「ホテルのスタッフに頼まれちゃったんだ。夜の城内ツアーだって。」 ひっ。 - - - 続く あるいは、目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.05.04 08:59:34
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