テーマ:海外生活(7772)
カテゴリ:旅先
あまりにもずばりずばり言い当てるので「ホテル中ご案内させてください、霊視お願いします」とスタッフに頼み込まれてしまったという。従業員の間に伝わる怪談と照らし合わせてみたいらしい。
いいんですか?そんな事して。 九時にフロントね。すっぽかしたら殺す とケリーに言われつつ別れた。その場でもっと聞きたかったが、前からD君と約束していた夕食の時間だった。 食後、レストランからホテルへ戻る道中、D君までイヤな事を言う。 「このホテル、風水が最悪だね」 ...へ? そっ、そうなの?どうして? 大通りが川に突き当たるT字路にホテルがそびえたっている。このT字路に面する「路冲殺」と言う形が災いを呼ぶとされているらしい。 D君は背が高く、おおらかさが大きな体に似合う人だ。占いごとに詳しいなんて初耳。いや、突拍子もなく意外。それも、珍しく眉をひそめて「風水が最悪」だなんて。 ケリーとの話は何も言ってないのに。 つくづく城を見上げる様に、並んでホテルに向かって歩いた。 そしてロビーを横切ると、ケリーがフロントで待っていた。スタッフとにこにこおしゃべりしている。にこにこそわそわ不思議な雰囲気だ。 はーい。待たせちゃった? 「もうすぐ出発だよ。Eちゃんが控え室に着替えに行ったからちょっと待ってるだけ」 すると制服姿の勤務中スタッフも一人一緒に来るという。二人残るフロントとくじ引きで決めたそうだ。「も~、わくわくしちゃって、一日中待ち遠しかったんです!」と彼女K。 おまけにベルホップのR君も。なので E, K, R とスタッフが合計三人。思ったより大騒ぎだ。 わぉ。いいの?叱られない?上司にバレたらアタクシが会議の設備の案内をお願いした事にでもしたらいいね。ね? 悪さをする時、前々から言い訳を練っておくのはアタクシの悪い癖だ。悪ガキ歴=年齢。 「それよりあんた」とケリーが複雑な表情で「今このロビーであんたがにっこり挨拶した紳士だけどさ」と聞いてきた。 ん?帽子の人?ちょっと素敵だよね、今時帽子に指をちょっと添えて会釈なんてさ。 フロントもベルも、居合わせたスタッフが四人とも固まってしまった。 え?え? 思わず後ろを振り返ってさっきまでいた帽子の男性の姿を探してしまう。ロビーで数回すれ違った事のある人だ。目が合うと無言で帽子をちょっと触るので、こちらもにっこりしてしまう。 なんなの、え? 「ほらねー 」とケリーがニヤニヤしている。「帽子って、どんな帽子?」 フェ、フェドラ帽。グレーのスーツかな? なんなんだってば!!! K:このホテルで一番有名な幽霊です。 R:「グレーの紳士」って名前まであって。凄いや。ボク見た事ありません。まだ四ヶ月目だけど。 だからあんたにも一緒に来てもらいたかったの!と楽しそうに背中をバンバン叩かれた。 なんだか凄~~~~く行きたくなくなった... - - - 続く あるいは、目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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