テーマ:海外生活(7772)
カテゴリ:旅先
顔の間近でいきなり絶叫されたらそれが生身の人間でも怖いだろう。想像しただけで怖い。
なのに、 「このホテル、開かずの間があるね。」 な、な、何て事おっしゃるのですかっっ 「客を入れない部屋。三階で、この絶叫する女性が出るとこ。うん、三階。」一人頷いている。 なんで判るのさ??? スタッフを見るとまた固まっていた。 「そ、その通りです」と K が言った。「イヤです、もう」 K が E にしがみつき、E はアタクシにしがみつき、アタクシは震える手で一生懸命メモを書き続けていた。 ケリーがまだ顔をしかめている。 「ベッドの下?なんだろう。ベッドの下って?」 「気が違ってるのかな。強気の客が叫ぶのやめろ!って怒鳴ったりすると今度は部屋の隅でしくしく泣いたりするね。」 「気味悪い人だ。ぼさぼさの白髪まじりのブロンドで」 ひっ、と E がまたアタクシの腕にしがみついた。 「目が真っ赤に充血してて。ちょっと待って!」ケリーが声を荒げた。「あたし三階だった!」 そういえば隣室がうるさいからと六階に移されたと言っていた。 まさか。 頭皮がざわざわする。 「でもあたしが聞いたのはカンカン鉄を叩くみたいな金属音だったよ。あぁ。やだ。やだ。あれだね。」 K が上ずった声で説明した。 「3○○号と3○○号、出来る限り入れません。」 今度はケリーがアタクシの反対の腕をぐっと掴んだ。 「隣。」 ひっ。 K が続ける。 私、一度だけお客様が入っててびっくりした事があるんです。大きな会議が二つもあって、この町小さいですし、ホテル室全部埋まってて困ってたお客様がいらして、早番の新米のスタッフが入れちゃったんです。 夜中になって大騒ぎになりました。 大声で泣き叫びながらそのお客様、廊下に飛び出て、近くの部屋全部叩いて助けてくれって起こして、過呼吸になって救急車呼んで、大変だったんです。びっくりしました。私当番でした。 その晩、そのお客様が寝ようとしたらベッドの下からカチカチ変な金属音がしたらしいです。なんだろうって、起きて、下を覗いたらベッドの下、あの、「彼女」が目の前に顔を突きつけてきて 「ぎゃーーーーっ」 て叫んだ、って言うんです。 ア、アタクシ、もう結構ですので、勘弁してください... ...だがまだまだ続く、古城ホテルの心霊ツアー。 「ぎゃーーーーっ」... - - - 続く あるいは、目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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