テーマ:こわーいお話(348)
カテゴリ:洋館の毎日
アタクシ、なんでこんな所でこんな事しているんだろう。 さっきのは、何だったんだろう。 あの閉まったドアから逃げるように、足早に廊下を進むケリーに追いつく事に気を取られていたら、あれほど怖かったエレベーター・ホールを難なく通過していた。 いつの間にかやはり真っ暗なボール・ルームの前にいた。 ガラスの、ちょっと豪華な両開きの扉が八つほど並んで閉まっている。 中を覗くと、カーテンの隙間から黄昏時の光がまだ見える。随分高緯度地帯なんだな、と改めて思い知る。今何時だろう。九時に集合したんだっけ? 暗く広いボール・ルームだ。目を凝らすと、真ん中に椅子やらが積まれているのがやっと見える。 「開けますね」とKが解錠してドアを開いた。 大きな窓から外を覗いてみたくなり、歩み寄った。表の大通りが見える。 「タリアさん、そんな事して、ボール・ルームの窓から女性の幽霊が覗いた、なんて噂が立ったらどうするんです?」とR君が無理に冗談をとばす。 あはは!そうだね。いいんじゃない? 思ったより怖くない。 「怖そう」と緊張していた分、ちょっと物足りない様な気までする。 E も K も薄暗い中談笑している。 「消灯後ここに来るの初めて。」 「あたしも。あたしこのボール・ルーム好きなんだよね。」 肝心のケリーは...?さっきまで恐ろしい事をぶつぶつ立て続けに呟いていたのに、急に静かになってしまった。 ケリー、どうなの?ここは? 返事がない。 輪郭だけぼんやり見える彼女に近づくとぎょっとした。 肩が震えている。 ど、どうしたの?大丈夫?ケリー?ケリー! - - - 続く あるいは、目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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