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2007.09.22
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カテゴリ:日常
お彼岸も近づき、お店におはぎ(ぼたもち)が売られていますね。

では、なぜお彼岸におはぎ(ぼたもち)をお供えするのでしょう。

予備知識
彼岸という言葉は仏教用語からできたもので、梵語〔ぼんご〕「波羅密多〔はらみた〕」の訳だと言われています。
正しくは到彼岸〔とうひがん〕、つまり生死を繰り返す迷いの世界(生死輪廻〔しょうじりんね〕)である此岸(この世)を離れて苦しみの無い安楽(涅槃常楽〔ねはんじょうらく〕)な彼岸に至るという意味です。
その内容にも仏教の影響が多く見られますが、他の仏教国には無い日本固有の信仰です。

また、あずきは古くから「邪気を払う効果がある食べ物」として食べられており、それが先祖の供養と結びついたと言われています。

◎おはぎ(ぼたもち)について

おはぎとぼたもちの大きさ形
大きさや形にも特徴がありますが、これにも実は秘密が隠されています。
ぼたもちは、牡丹の花をかたどって丸く大き豪華に作って、おはぎは、秋の七草の萩の赤紫の花をかたどって小ぶりで長めに丸められて作られたと言われています。


おはぎとぼたもちのあんこ
粒あんがぼたもちで、こしあんがおはぎ、と思っていらっしゃる方が多いのかもしれません。

しかし実は、違うのです。あんの材料である小豆の収穫時期に関係があったのです。

秋のお彼岸は、小豆の収穫期とほぼ同じで、とれたての柔らかい小豆をあんにすることができます。柔らかい皮も一緒につぶして使うので、つぶあんができます。

春のお彼岸は、冬を越した小豆を使うことになりますが、皮は固くなっています。当然固くなった皮をそのままに使っては食感が悪くなります。そこで皮を取り除いた小豆を使い、こしあんができます。

よって春のぼたもちはこしあんで、秋のおはぎは粒あんだったのです。



夏と冬にも別名があった

夏のおはぎは「夜船」
おはぎ(名前がたくさんあって呼びにくいので、一般的にはおはぎと呼ぶことにします。)は、お餅と違い、餅つきをしません。よって杵でつかないので、「ペッタン、ペンタン!」と音がしないのです。

具体的には、もち米とお米を混ぜて炊き、すりこぎで半つぶしにするのです。
ということで、ペッタンペッタン音がしないので、お隣さんなどからすると、いつついたのか分からない。そういうところから、

 → 搗(つ)き知らず → 着き知らず、となり

夜は船がいつ着いたのか分からないことから「夜船」となったようです。

夏の夜船。月を水面に浮かべて波間を行き交う屋形船などを思い起こせばいいのでしょうか。なんとなく夏と夜船がシックリくるところが不思議です。


冬のおはぎは「北窓」
では、つづきまして、冬バージョンです。北窓と言われてピンときますか?これも夏バージョンの強引な展開で夜船に持っていっているのと同様に、なかなか難しいです。

おはぎは餅つきと違い、杵でつかないのでペッタンペッタンと音がしない。だから、いつついたのか分からない、までは同じです。ここからの変化が違います。漢字に注目です。

 → 搗(つ)き知らず → 月知らず、となり

月の見えないのは、北の窓なことから「北窓」となったとのこと。

寒い冬に北の窓。雪がシンシンと降り積もる外を北窓から眺めている状況でも想像してみましょうか。冬と北窓もイメージが結びつきそうです。



昔の人は、おはぎ1つをとっても4つの名前をつけるほど、自然や季節との結びついて、遊び心もありながら風情もあったんだと感心させられます。忘れてはいけない日本の心を思い出させてくれるようです。

春の「ぼたもち」
夏の「夜船」
秋の「おはぎ」
冬の「北窓」







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Last updated  2007.09.22 17:36:10
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