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探偵の愚痴をきいてください

探偵の愚痴をきいてください

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2006.02.03
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カテゴリ:探偵
アイーン、アイーン。

笑っちゃう?
確かに、この話を聞いたほうはそう感じるかもしれない。

私も笑ってしまった。

しかし、その部屋の当事者は、そうはいかなかったのだという。

笑い飛ばせればどんなによかったろうか。

依頼者の表情、声の調子、タイミング、
その部屋の空気が、それを許さなかった。

いろんな感情が、アイーン、アイーン、とこだまする。

あまりにも切なくて、やるせない感情が交錯し、
報告担当は、うつむき、声をかけれなかったという。


『わらっちゃうね、うちのだんな・・・』


『我々の世界では珍しい光景ではありません』


少しでも気を軽くさせるために言ったという。


『そうなの・・・』


担当は、ビデオデッキに向かうと再生を止めた。


『この先はもっとつらいものを見ることになります』


『・・・・・・』


依頼者はうなだれ、やがて立ち上がると担当に背を向けた。

泣いていたのかもしれない。

重苦しい沈黙を打ち破ったのは依頼者だった。


『コマネチって知ってますか』

『・・・コマネチ・・・ですか』


『そう、彼女にだって負けない。
私、体操選手だったの。
県の大会に出たことも』


『・・・』


『今でもたまにやるんですよ。
ちょうど、こんな時に・・・』


そう言って、美しい弧を描いた。



それは、側転だったそうな・・・


担当は思った。

このひと、側転しちゃったよ!!

何故に側転??

やるならバク転でしょ・・・


私は、回転する依頼者に出会ったことがない。

その場にいれなかったことを心から悔やんだ(終)





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Last updated  2006.02.03 20:37:54



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