『半沢直樹』を考える
今、TBSでドラマ『半沢直樹』を放送中ですね。視聴率も20%と好調のよう。池井戸潤の作品は好きなのです。『下町ロケット』はドラマ化される前に小説で読みましたし(June 3, 2012)、ドラマも面白かったし、『大地編』など私が忘れていてもオットが録画までして見ていたほど。『ノーサイド・ゲーム』は小説は読んでませんが、出演俳優のラインナップでドラマを見始めたら、ストーリーもそこそこ良くて、全部見ました。同じく出演俳優のラインナップで『花咲舞が黙ってない』などはもうウキウキで毎週見ていたし、終わったときのロスは相当でした。ストーリー展開は至って単純で、程度の差こそあれ、一貫して敵役を倒すヒーロー/ヒロイン物語。なのですが、ドラマの『半沢直樹』だけは家族そろって見る気になれないのです(ちなみに、小説『オレたちバブル入校組』は読みました・・・まぁまぁ面白かった)先日、『半沢直樹』の大ファンという知り合いの男性と話したときのこと。予告を見る限り、ずらりと並んだ名優がこれでもかと悪役ぶりを発揮するのが痛々しいし暑苦しい・・・ちょっと見てみようかとチャンネルを変えるのもはばかられる感じで、放送は見ていない・・・というようなことを、その男性に話したら、「あれは現代版水戸黄門なんだよ、勧善懲悪の歌舞伎」と。そうねえ、言われてみれば、と思いつつも、水戸黄門も好きだし、歌舞伎の見得を切るのを見るのも嫌いじゃない。私のこの「苦手感」はどこから・・・?と思っていたのですが。今日の朝日新聞のコラムでこのモヤモヤがはっきりしました。島﨑今日子さんの「キュー」というコラム。放送中のテレビ番組を遠慮なくぶった切るコラムで、賛否いろいろなのですが、今回はなるほどと思いました。曰く、このドラマを見ていると、つくづく日本はホモソーシャルな世界だとあきれ果てる。(中略)ほとんど歌舞伎です。いや遠山の金さんです。半沢直樹である堺雅人の周りに名だたる歌舞伎俳優、劇団出身の名優、人気者を配し、企業社会を舞台に勧善懲悪を描きにかかる。・・・「男たちの激烈な競争」を見せつける。(中略)それにしても何という女たちの描かれ方よ。井川遥演じる小料理屋の女将は半沢に微笑みかけ、部下の今田美桜は尊敬の目で半沢にうなずく。(中略)原作があるとはいえ、産業構造が変わり、ジェンダー意識が高まる今、・・・女性を疎外して平気なドラマを楽しむ趣味はない。(朝日新聞朝刊2020/8/5 島﨑今日子 「キュー 半沢の世界の女たち」)ははは。そういうことね。確かに、ドラマ化された池井戸潤ドラマの中で、ここまで女性を無視したものは他にはありませんね。昭和~平成の、24時間闘ってたサラリーマン男性の哀歌。あー、苦手だわ(笑)。このコラムを読んで「そう感じてるの、私だけじゃなかった」と、かなり溜飲が下がったのでした。ファンを否定するつもりはありません。くだんの知り合いにもそんなことを言ったりするつもりはありません(^^)。それだけです。