なつみのＴａｐｄａｎｃｅ～目指せ美人道～

土曜日の夕方、北陸での引き継ぎ業務を終え、ようやく夫が新居へ帰宅した。

この週末は、大阪は絶好のお花見日和だった。
桜は身頃のピークを迎え、
直前まで「雨」だった予報は「晴れ時々曇り」のポカポカ陽気。

けれど、９日の日曜は阪神競馬場のビックイベント「桜花賞」
引っ越しの随分前から、

「この日だけは行かせてくれ。」

そう頼まれていたので、快く送り出した。
よって、今年は「家族でお花見」の夢は見事砕け散った。



そんな昨夜、久々にあたしが泣くほどの大喧嘩をした。


キッカケは、最後の荷解き。


新しい家は一部屋増えた為、パソコンルーム兼夫の書斎（？）となる予定の部屋がある。
寝室、リビングは引越し早々から確保したかったので、
荷解きしていないダンボール達はほとんどこの部屋へ送られた。


今まで、寝室やリビングに置いていた洋服タンス等の家具も
全てこの部屋に置く予定なのだけど、引越し屋のすっとこどっこいが
めちゃめちゃ適当に置いた為、ある程度移動をしなければ収納できない。

そういうわけで、残り５箱のダンボールは放置状態。



夫が言った。

「あーあ、早く俺の部屋キレイにならないかなあ。」

あたしはすかさず理由を説明し、重い家具の移動を頼んだ。


「タンスとか、衣装ケースは重いから、あなたが移動して欲しい。
そうじゃないと、いつまでもこのままだよ～」


「わかったわかった。んじゃ、暇な時やるわ。」


再び夫が言った。

「なんだあ、パソコンまだ繋がらないのかー早く繋がらないかなー。」


夫が留守の１週間の間に、あたしはパソコンやプリンタををダンボールから出し、
配線の全てをつなぎ組み立てた。
モデムの接続も頑張ってやった。
けれど、なぜかエラーが出てしまい、インターネットを使えない状態なのだ。

本当は、夫が帰ってから一緒にやってもらおうと思ったけれど、
少しでも、あたしが出来ることはやってあげようと思って
この一週間、フルに活動した。


こいつ、そんなこと全然わかってねえんじゃねえの？！


なんだか、全部あたしがやるのが当たり前的発言。



「あたし、これでも精一杯頑張ったんだよ？わかってくれてる？
本とはパソコンはあなたが帰ってからやる予定だったんだけど、
配線も全部繋いでおいたでしょ？！感謝してる？
あとは、家具の移動だけしてくれればいいって言ってるんだから楽なもんでしょう。」

「はいはい、わかりましたよ。」


プチ。


この態度に、温厚なあたしも小さく切れた。
なんだか感謝している様子がちっとも伝わってこない。
そう思うと、猛烈に怒りがこみ上げてきた。
けれど、あまり恩着せがましく言うのも好きではないし、
夫だって、この一週間遊んでいたわけではなく、仕事をしていたのだから、
精一杯抑えて言った。


「感謝してるなら、普通、いやいや返事するんじゃなくって
「残りたった５箱なら、あとは俺がやろうか？」ぐらい言うんじゃないの？
そしたら、こっちも「いいよ、いいよ、それはあたしがやっとくから。」って言えるじゃん。」

（充分、恩着せがましい？！）

「ああ、そうだね。じゃあ、あとは俺がやるよ。」

なんかムカついたので、やらせる気なんてなかったけれど、

「じゃあ、お願いね。」

と言ってみた。


すると、ヤツはこうのたまいやがった。


「あ～あ、新しい職場は不安だってのに、家でもあれしろ、これしろって
板ばさみだな、俺は。」



ブチブチ。



温厚でのん気なあたしも、コレには大きく切れた。



「あのね、あたしは引越しの前から、できるだけあなたには何もさせてないでしょう？

そんな言い方ないんじゃない？」



「だからわかったよ！家具の移動やりゃあいいんだろ！！」


逆切れしやがった。


わかってもらえない悔しさと、怒りと、言いたいことが一度にこみ上げてくると、
同時に涙も出そうになる。
言いたいことはたくさんあるのに、このまま喋ればきっとあたしは泣いてしまう。

ケンカで女が泣くのは卑怯だし、悔しい。

そう想い、気持ちが静まるのを待つ。

その間、目まぐるしく働いた引越し前からの事を思い出す。

３月は、土日も夫は仕事だった為、
ダンボールの梱包は、ほぼ全部あたし１人でやった。
その数は６０箱だ。

夫がやったことと言えば、引越しの当日に身の回り品でダンボール２コ
作ったことと、ＢＳアンテナの取り外し（ねじ４本取るだけ）

引越し後の１週間、住民移動の手続きの為、市役所へ行ったときは
娘が大泣きして大変だった。
周りには白い目で見られ、腕がつるほど抱っこして行列に並んだ。
日用品の買い物だって、１５箱の荷解きだって、
１人でならば、さほど大変な作業ではないけれど、
なにかとまとわりつく年頃の娘の相手をしながらの作業は、思った以上に苦労した。

帰ってきて、早々に何かさせてやろうと思ったけど、
桜花賞には行かせてあげようと思った。
人がめちゃくちゃ多い競馬場へ行く元気がある人間に、
たかだか３つや４つの家具の移動を頼むことがそんなにいけないことなのか。


そんなことを考えていたら、ますます腹が立って目に涙が溜まってくる。


涙目で黙って睨みつけるあたしに夫が言った。


「もう、やるって言ってるんだからいいだろう！」



もういい。泣いてやる。



「あたし、引越し前からあなたにほとんど何もさせてないでしょう？
６０箱の梱包って、言葉で言うのは簡単だけど
どれだけ大変だったかってわかる？！」

こうしてる間も、娘は夫の足元で抱っこ、抱っことせがんでいる。

「○○（子供）は、ずっとこんな調子なのよ。
荷解きも、手続きで市役所行った時も・・・
でも、そのことであなたに文句言ったりしてないでしょう。
帰ってきて、当たり前のようにきれいな部屋で・・・・

それは、あなたはこれから仕事が大変だろうから、できるだけ負担をかけないようにって、
気持ちよく仕事が出来るようにって思ったからなのに、
そう思って頑張ったのに、板ばさみって何？
そんな言い方ないじゃない？

最初っから最後まで何にもしてないあなたに、
あたしの事責める資格なんてない！！！」




泣きながら、言いたかった事を大爆発させると、あたしは部屋を出た。
１人で台所へ行き、溢れ出る涙を拭い、鼻をブーブーかんでいた。




５分ほどで、夫が娘を連れて部屋へやってきた言った。

「ママの事、なでなでしてあげよ。」


娘はあたしの元へ歩み寄り、

「なーで、なーで。」

そう言って、頭をなでてくれた。

「ありがとう。」

そっと娘を抱きしめる。

娘に向けていた優しいまなざしを切り替え、
てめえはどうなんだ、と言う目で、再び夫を睨みつけると、


「ゴメン、俺が悪かった。
俺がお前に文句言う資格なんてないな。ははは」


そう言いながら、今度は夫があたしの頭を優しくなでた。


こうして我が家の大喧嘩は幕を閉じた。


本当はこんな恩着せがましいことなんて言いたくなかったし、
言わなくてもわかってくれたら一番いいのだろうけど、
あたし達は、そんなによく出来た夫婦ではないので、
こうやってたまに爆発します。

夫は、どこに地雷があるかわからない性格なので、
爆発しながらも、言葉選びには注意します。
でも、まあ、だいたいケンカはこんな感じで、すぐに仲直りして
後をひきません。


でも、まあ言いたいことも言ったし、
これでこれから新生活、気持ちよくスタートできそうです。


やっぱり、家族が仲良しだと毎日が楽しいですね♪



パソコンもようやく繋がったし、またぼちぼち更新しますんで、
またよろしくお願いしますね～