テーマ:お勧めの本(7357)
カテゴリ:東日本大震災
火の手はここだけで数十ヵ所も上がり、水の一部に油が載って流れ、それに火がついた。 石油貯蔵タンクのいくつかが、地盤亀裂によって破壊し、そこへスパークが飛んで引火した。 震災というものの常として、これらのことが、(中略)きわめて短い時間の間に一斉に起こったのである。 「国難か……」 震源が、(中略)何ヵ所にもわたってほとんど同時に発生した、という点で、地震史上未曾有のものだった。(中略)600キロにわたる直線上のどこかに発生した地震が、引き金のように直線上にならんだ震源の地震を誘発したらしい、とわかったが…… 船舶が陸上にうち上げられた損害も多数にのぼった。 海抜三十四、五メートルまで、あれくるう波先がおそいかかった。津波の引いたあと、(中略)ほとんど何も残らないほどの惨状だった。 市内半分が津波で壊滅させられ、津波がひいたあとも、全市域が水深1メートル以上の海水に水没したまま…… 小松左京「日本沈没」から引用 いつ書かれた文章だと思いますか? 約40年前。 正確には、1964年から 1973年です。 読んでおいてよかった、と思う本の1冊です。リアルタイムで読んだわけじゃないので念の 震災後、各方面の無責任なコメントを見聞きして 「そんなこと小松左京がとっくの昔に書いてるじゃんっ!!」 と何回叫んだことか。 某地震研究家(パパ)のレクチャーに対しても 「それ日本沈没で読みましたけど?」 と何回言ったことか。 こういう時期に読み直すのは……と思いましたが。 パパも読みたいというので。 図書館で借りてきました。 いやはや、すごいです。 これは石巻、これは気仙沼……まるで“見た”んじゃないかと思うほど。 小松左京は、予知夢でも見たんだろうか。 タイムマシンでも乗ったんだろうか。 震災というものの常として、これらのことが、(中略)きわめて短い時間の間に一斉に起こったのである。 ここの文章が特に好きです。 この人は、震災というものの本質を、本当によくわかってるんだなぁ~と。 おもしろい、とは言わない。被災者の方に失礼だから。 でも、この1冊で、今回の災害がより深く理解できるような気がするんですよ。 地球物理とか、防災行政とか、試験気球とか、外交とか。 震災のバイブル。 オススメですよ!! それで、今ごろ、ひそかに美術品を海外に移したりしてるんだろか・・・・・・? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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