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雪が舞う中を、チイくんの家へ向かう。 私が泊まったときと、同じことが起きていた。 水皿の中身がこぼれて、ほとんど残っていなかった。 ウォシュレット効果の跡もあった。 こたつ布団をめくると、チイくんが弱弱しく息をしていた。 トイレに入った様子がなかった。 チイくんの脚のほうの布団をめくると、敷物に、液体のような染みがあった。 すっかり乾いているし、もともと汚い敷物だし、何の染みかわからない。 念のためにお尻の下にペットシーツを滑りこませた。 新しい水入れを買ってきた。 今までチイくんが使っていたのは、丸いグラタン皿みたいなヤツで、決して不安定なシロモノじゃないんだけど、巨猫チイくんが寄りかかると傾いてしまう。 だから、富士山みたいな裾広がりの食器を買った。ワンコ用だけど 普通の姿勢で飲めないチイくんにとって、富士山型は飲みにくいかもしれないけど。 でも、飲みやすい水皿でも、中身をこぼしちゃえば飲めないわけで。 どうせ飲めないなら、倒しにくい水入れにしよう、というヘンな理屈だ。 飼い主がお正月に一時帰宅する可能性があったから、年末は掃除片づけでバタバタしてたけど。 今は、チイくんの身体に障らないように、本を読んだりボーッとしたりごろ寝したりして、できるだけ静かに過ごすようにしている。 今日読んだのは、在宅ターミナルケアの本。 何もしないで寄り添うのが一番のケア。そう書いてある部分があった。 まさしく、今やっていることだ。 「いてててててッ!」 突然、パパが叫んだ。 コタツの中で、チイくんが爪を立てたという。 パパのジーパンに突き刺さった爪を、はずした。 チイくんの手はダラリとして、何の抵抗もなかった。 意識がないような感じだった。 ときどき頭を起こしたり身体をずらしたり。 でもほとんど同じ姿勢のまま、同じ場所で寝ているチイくん。 帰るときに調べたら、チイくんの下に敷いたペットシーツに、オシッコの跡があった。 チイくん、トイレに行けなくなったんだ。 もう立てないんだ。 新しいペットシーツを、お尻の下に押しこんだ。 毛並みに逆らって押しこむのは難しい。 お尻を少し持ち上げたら、チイくんが小さな声で 「ニャー」 と言った。 チイくんの声を聞いたのは、ずいぶん久しぶりだ。 多分、これが最後の声になるんだろう。 今日買ってきた水入れも、一度も使わないままになりそうだ。 「お水、飲みたい?」 シッポがパタンと動いた。 「飲みたくない?」 同じように、シッポがパタンと動いた。 チイくん、どっちなんだい? チイくんの意向はよくわからないけど。 飲ませるとしたらコタツからチイくんを引っぱりださなくちゃならない。 「何もしない」で寄り添うのが一番のケアだから、そのまま帰ることにした。 チイくん、明日は一緒に泊まるよ。朝も早めに来るよ。 でも、眠れるなら眠っていいからね。 待ってなくていいからね。 この船をのがしたら、次は荒海にボロ船だとわかっているから。 きみは波が穏やかなうちに、この船で行きなさい。 猫の神様。 出航の汽笛はもうすぐですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年01月05日 00時16分36秒
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