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2009年05月31日
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カテゴリ:音楽全般
エリーナ・ガランチャのチェネレントラ、ノーブルさを備えた容姿と意志の強さみなぎる演技、それでいて歌が全く乱れないのですから、本当にすばらしいです。
 

私は、ドン・マニフィコのアレッサンドロ・コルベッリが今回一番のお気に入りです。

本人もインタビューで、一緒に笑ってしまうのではなく、自分は真面目に役になりきることで、見てる人はギャップにおかしさを感じるのだと言ってました。さすがベテランの役作りです、醸し出される雰囲気がとてもいいスパイスになります。

 

最近のMET演出にはミュージカル的な要素が入って、時代設定もできるだけ近世にかえてきていて、楽しく受け入れやすいようにしているように感じます。ブロードウェイという下地があるからこそできるヴァリエーションなんでしょうね~

 

ガランチャは、高音も中低音も全く同じような違和感ない響きで、とくに中低音のふくよかでやさしく包み込むような美しい声は本当に魅せられます。

私的には、今回彼女には若い娘らしさというより、いつかチャンスがあったらと虎視眈々として、機会逃さず作戦練って・・というしたたかさをものすごく感じました。だからこそフィナーレは勝利宣言を端的に感じて、上品でありながら力強さにものすごく圧倒されました。

 

「お姫様はお城で王子様と幸せに暮らしました、めでたしめでたし」なんていうのではない、現実はこういうシビアなものなんだよ~~というロッシーニの皮肉さがみごとに出ている感じで、そういう目線から見ると、とても彼女のチェネレントラ適役に感じます。

 

 

ガランチャはこの役にはもう決別を決心しているそうです。コロラトゥーラよりメロディーラインで訴えかける歌や役のほうが自分には合っていると、中途のトーマス・ハンプソンのインタビューに答えていました。

実は最初から、うまいけどなんか冷めてやってるみたいだなぁ、そういう役作りなのかなぁと感じていたのですが、その辺の事情がひょっとすると歌や演技に表れていたのかもしれません。

 

ロッシーニから始まった彼女のスターのキャリア、豊潤な美声としたたかな演技は今後どんな方向に行くのでしょうか、とても楽しみです。

 

2009年5月9日 メトロポリタン歌劇場上演

 

指揮 マウリツィオ・ベニーニ

演出 チェーザレ・リエーヴィ

 

チェネレントラ エリーナ・ガランチャ

ドン・ラミーロ王子 ローレンス・ブラウンリー

ドン・マニフィコ男爵(チェネレントラの義父) アレッサンドロ・コルベッリ

ダンディーニ(王子の従者) シモーネ・アルベルギーニ

アリドーロ(王子の師) ジョン・レリエ

 

ちなみにCenerentola チェネレントラはイタリア語読み、フランス語だとCendrillon サンドリヨン、英語でCinderella シンデレラだそうです。






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Last updated  2009年05月31日 17時15分46秒
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