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2009.11.18
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カテゴリ:仕事
以前に、ハローワークへ求人を出したと書いたが(←過去ブログ)

その後の経緯を書きます。

長文です。




掲載した途端に、ドンドンと問い合わせが相次いだ。

全部で30件ぐらいあったと思う。


数年前に出した時は全然問い合わせがなかったのに、この不景気で失業率が高くなったせいか、

こんな零細企業にも挙手してくれる人がいた。



大工募集は、

最初は、50歳代 60歳代ばかりだった。

そのうち、30歳代、40歳代もパラパラとくるようになった。

20歳代も1人いたが、やはり面接の当日に連絡が取れなくなった。

携帯電話にかけても、一切「無視」をするというパターンだ。

まぁ、若いから他に決まったから心変わりがしたのだろう。

それはそれで構わないけど、こちらからかけているんだから断りの一言があってもいい。



全部で15人の面接をした(夫が1人で)

最後まで悩んだ挙句、59歳の松本さんという人を採用した。

どうして松本さんに決めたかと言うと。

大人しそうで他の業者(電気や設備関係)とも、角が立たず、うまくやって行けそうな風貌だったからだ。



淡々と大工業務をしてくれればいいだけで、他の業者とも仲良くしろとは言わないが、

挨拶をしたり、困っていたらちょっと手を貸す位の心構えがあるとうれしい。

そんな、ありきたりの事を黙々とやりそうな人に見えたらしい。






早速、ある現場を任せた。


ところが。

開始初日に。




給料を前借させてもらいたい」と申し出があった。




奥さんがガンで入院していて、その入院費の支払いが迫っているそうだ。

(面接の時から入院している事は承知だった)



夫は

「要用があるのはわかるけど、あなたとは今まで何の付き合いもなく、

今日からお願いするのに、初日から はいそうですか、と言って働いてもいない賃金を出す会社はない。

残念だけど松本さんに対して不信感が出るだけだよ」

と丁重に断った。



夫からすぐ電話が入り、私は

「初日から、それは人としておかしいよ。金にルーズな奴は色々な面でルーズだよ。

もう切っちゃいなよ。さよならだよ」と言った。



夫は、まぁまぁという具合で

「奥さんの入院費で困っているのもわかるし、現場はもう走り出したから、

急に切るって事が出来ない。この現場が終わる頃までには、何かしら決着がつくかもしれない。

もしかして すごく手が良い(技術が上手い)かもしれないし、

使ってみない事にはわからない」

と言った。






彼はいつも冷静沈着だ。

私はせっかちだが、彼は必ず一拍置いて様子を見る。

その置いた時間は、良い方向へ行くとは限らない。悪いケースもある。







松本さんに、携帯電話は必需品だから持って来るようにと指示すると、

奥さんが入院して持っているから、自分の分は無いと言う。

買う金もないと言う。

当方で、プリペイドカード式の携帯を購入して与えた。




現場では色々な、消耗品(釘とか)が必要なので、大工はそれぞれ自分で買って、

領収書を当方へ提出するようになっている。


が。

松本さんは、前もって消耗品を買う金がないと言う。

なので、前払金で20,000円渡した。






そして、

現場では、他の業者の文句を言うようになった。

大工さんとしては、工程の進み具合で、自分が入っている時に、

クロス屋が来て違う部屋を貼ったり、

電気屋が来て工事したり、

設備屋が来て水廻り関係を工事するのを嫌うらしい。

日程に充分余裕があれば、それぞれの業者をづらして入れるのだが、

納期が迫ってくると、そうも行かない場合が多い。

それに対して文句を言い出した。

夫に面と向かって言うのではなく、独り言のようにブツブツと言うらしい。

そして、電気屋で1人ちょっと ドン臭い奴がいるのだが、

「チッ! あの電気屋の野郎!!ムカッ」と文句を言う。






更に悪い事は続くもんだ。

松本さんの奥さんはガンが転移して、回復の見込みがなくなった。


松本さんは生きる気力がなくなってきたのか、

顔色も悪くなってきて人生において全てを投げ出しているように見える。




他の業者がいる前で、夫へ

「あのよぉ~ お金払ってくれないのかよ?」とまた前借の件を催促してきたらしい。


他人が聞くと、うちが払うべきものをストップしているように聞こえるらしい。

夫は、頭にきて

「今、それを言うべきでは無い。目の前の業務をこなしてください」と指示をした。






それから、松本は悪態をつくようになった。

電気屋以外の業者とは、何とかうまくやっているようだが、

前借が出来ないのが気に入らないのか、夫に対して悪態をつく。




どんどん納期が迫り、「もう間に合わない、出来ない」と愚痴るようになった。

夫は「まだ日にちはあるから、今から投げないで出来る限り進めるように」と指示をした。

それがまた気に入らなかったのか、今度は夫から電話をすると、電話に出なくなった。

3回に1回ぐらい、嫌々出る。








で。

とうとう納期が来てしまった。




夫は、元請に頭を下げ、工期の延長をしてもらった。

数日で仕上げなければならないので、他の大工や業者をかき集め、

他の動いている現場をストップして、その現場を仕上げた。




松本には「この現場が終わり次第、当方とは終了にしたい」と告げた。

相手もそのつもりだったらしい。

逆に、まだ働く気があっても怖いけど。





他の大工や業者をかき集めて、全員で何とか二回目の納期に間に合うように、

取り組んでいる最中に、松本は 1日仕事を休んだ。

どうしたのか?と聞くと、

税金や家賃、全ての物を滞納しているらしく、差し押さえられているので、その事情聴取の為に休んだ。





もう、人間として最低だね。




負の要素を持った人間が、1人でも近くに現れると、あれよあれよと言う間に、負の要素に引っ張られていく。










なんであんな人採用してしまったんだろうと、夫は嘆いている。

「大丈夫だよ。採用のプロでも失敗するんだから」と慰めたが、

慰めにならなかったかもしれない。









私は又 別件でハローワークへ出向いた。




前回の、お人よしそうな親父がカウンターにいたので、

「こんにちはバイバイ」と声をかけた。


親父は「大工さんの募集 決まったかね?」と言うので


「おかげさまで決まりました。でも、もう辞めて頂きます」と言うと、


「なんでだい?」と聞くので、上記の前借の件を主に話した。





親父は「そんなの当日に首でも構わなかったじゃないか!!ムカッ

何人も来たのになんでその人を選んだんだい?」と聞く。





私「ん~~~~!?

どの人もパッとしなくて、大工だからそうなのか、たまたまそういう人ばっかりだったのかわからないんですけど。

結局 甲乙付けがたくて 消去法です」



親父「だから言っただろ?今 人材はあふれているけど質は落ちるって言ったじゃないか!

これぐらいでいいかと諦めて採用しちゃいけないよ。

この人がいい!と思う人がどこかにいるからさ」







親父「もうひとつの現場監督の募集はどうなんだい?」



私「1人36歳の男性が来ました。丁寧で腰が低くくていいんですが、

やっぱりパッとしなくて。

こちらは夫の片腕となって同じように動いてもらいたい人材だし、

初めての採用なので、躊躇しています。

会社が軌道に乗っていて、彼でもう5,6人目の採用だというなら、雇ってもいいんですが、

まず初の一人目採用となると、いまいちなんです。

どこか?と言われると明確な理由はないですが、いまいちなんです」




親父「そうだよ、それでいいんですよ。諦めて採用はしてはならない。

必ずいつか絶対この人がいい!と思う人が来るから」と言う。




ん、、、、、そうなんだよ 親父さん。

でもなかなかねぇ~ 現れないもんなんだよ。
















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Last updated  2009.11.18 14:45:33
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